･言葉にさせて ページ20
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楽しい北海道旅行も終わり寮に帰る日。
雪の両親から,手に一杯のお土産を貰い雪と共に駅へと向かっていた。
道中,何度も後ろを振り向く姿が印象的で如何に家族を大切に思っている事がよく分かった。
ふと途中に花屋を見つけ,吸い込まれるように入ると後を追って雪も店内へ入ってくる。
一目見て好きな花を店員に伝え花束を作ってもらい,不思議そうに尋ねる雪の声に敢えて何も応えずに店を後にした。
春「雪,帰る前に寄りたいところがあるんだけどいいかな」
ーーーー
噴水のある公園に着くと大きく息を吸い,速まる鼓動を落ち着かせていた。
そして何も知らない君の前に,作ってもらったばかりの花束を差し出し真っ直ぐ見つめると視線が重なった…
"さっきよりも増して鼓動がうるさくなった"
春「雪……"俺と付き合ってください"」
雪「……えっ？」
大きく目を見開いたかと思うと,静かに涙を流し困り果てた様な表情をしていた。
口をパクパク動かしながら何かを伝えようとする姿は,見ていてとても心苦しかった…
雪「…どうして"言葉にしちゃうの？"」
…どういう意味だ？告白する事だけを考えていた俺には,雪の言っている事が理解出来なかった。
雪「…言葉にしたら"全て壊れちゃうよ"」
"壊れる"…今の俺達の関係の事を言っているのか？
春「俺達の関係は壊れたりしない,だから…」
"付き合おう"
その言葉をどうしても言えなかったのは,理解もしないで軽々しく言っていい言葉じゃないからだ。
春「ごめん…雪の言葉で言ってもらえないかな？」
人に委ねてしまうのは自分に自信がないからだ…
雪「…僕ね,春の事好きになっていたんだ」
胸が張り裂ける気持ちを抑え,その後に続けられる言葉に静かに聞く。
雪「でもこれは僕の一方的な感情…この感情のせいで,春との関係や紅葉との関係を壊したくない,だって僕にとって2人は大切だから…」
…雪の言っていた"壊れる"は,友達としての関係が壊れることを恐れていた事を指すのだろう。
雪にとって俺も紅葉も大切な存在であって,それを自分の中で芽生えてしまったもので失うのが怖かったのだろう…
"あぁ…何て優しい人なんだ"
春「それでも俺は,雪と付き合いたいと思ってるよ」
関係が壊れるのは確かに恐ろしい…
でもそこから先に進めないのも,両思いである俺達には辛いだけだ。
差し出した花束が雪の腕に抱かれる姿は,とても綺麗だと思った。
そして優しく触れ合ったあの感触を,俺は一生忘れることはないだろう…
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
