・優しい人になりたかった ページ11
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競技開始まで残り5分となり,受付場所に行かないといけないのに今だ雪が戻ってこない。
春「雪…どこ行ったんだ」
辺りを見渡しても見つからない…
てっきり誰かと話でもしているかと思ったが,そうじゃないのか?
?「おい,そこ邪魔だ」
振り返ると,競技終わりの火野が俺を見下ろしていた。
春「悪い火野…雪の事知らないか」
夏「…冬上ならトイレに行っただろ」
春「何でお前が知ってるんだ?」
競技に参加していたはずなのに,なんで火野は雪のことを知っているんだ?
春「…もしかして見てたのか」
夏「……たまたま始まる前に見かけた。競技が終わるまで誰も出てきてねぇ」
ということは長い間トイレにいたってこと…か?
いや待て,そんな長い間出ていないってことは…
"雪の何かあったとしか思えない"
春「…っ‼火野,ありがとな」
夏「…早く行け」
どうか無事でありますように…
今はただ祈る事しか出来なかった…
ーーーー
トイレに向かうと『只今清掃中』と丁寧に看板が立て掛けられていた。
これを見たら他の場所に行くしかないと思う所だが,火野が言っていたのは恐らくこのトイレだ。
ゆっくりドアを開けると,数人に囲まれた真ん中に見覚えのある顔があった。
先「あれ?乱入者かな」
先「一緒にやるかい,後輩くんw」
目の前に広がる光景は,吐き気がする程に酷い有り様だった…
グッタリと横たわり,身体中に白濁がかけられた姿の雪がそこにいた。
あの時,何で早く気付いてあげれなかったのだろう。
頑張ろうって,気合い入れていた雪を…
"俺はーーーー"
春「…離せ,雪を離せ!!」
先「君の彼女だったの?ははっ♪しちゃった♡」
先「後輩は黙って出て行けよ」
今にも殴りかかってくる先輩に,グッと拳に力を込める。
雪に酷い事をした先輩にも腹が立つけど,それと同じくらい気付けなかった自分にも腹が立った…
『花宮くんは優しいよ!!』
…俺は優しい人じゃない
だって今,目の前にいる先輩の息の根を止めてしまいたいと思っている。
"優しい人ならそんな事しないだろ?"
冷静さを失っている俺は,何ら先輩達と変わらない最低な奴だ…
?「お前ら,こんな所で何やってる!!」
突如響く怒鳴り声に冷静さを取り戻した俺とは逆に,焦る先輩達の姿。
先「やば…鬼教官じゃね?」
先「…見つかると面倒くせぇ,行くぞ」
先輩達がその場から逃げ出すと,俺は雪を抱きしめ迫り来る鬼教官にどう言い訳をするか考えていた…
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります! 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください! (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:B民 | 作成日時:2018年7月24日 20時