涙の色と感情のカケラ ページ9
清玄(きよはる)side
いつまで、そうしていただろう。
膝から崩れ落ちたまま
くるくると散っていく桜と、白(きよ)の白髪を眺めていた。ずっと・・・
まだ白には教えることの出来ない、僕にも解らない涙を流しながら。
「兄様、泣いて、いるの？」
その声で僕は我にかえった。目の前には同じ様に座っている白の顔。でも、何も言えなかった。
「どうして、泣いているの？それが、兄様の涙の色なの？」
ゆっくりと白の顔を確かめると、白も涙を流していた。
「僕の涙の色・・・？」
「そう。兄様の目からは暖かくてすんだ色の涙。でも、私の目からは何にも零れない、何も溢れたりしないの」
白は自分が泣いていることに気が付いていない様だった。
「白も、涙を流しているよ」
「・・・嘘」
白は震えた声で小さく呟き、白い頬を優しく指でなぞった。
「私の涙はっ・・・何色に見える・・・？」
そういう白が愛しくて、僕の掌を白の頬に重ねた。
「僕には、暖かくて僕よりももっと綺麗な色に見えるよ」
「よかったぁ・・・」
掠れた声と柔らかい微笑みで僕を照らす君は、僕の知らない表情の白だった。
そうして、落ち着いた僕達はお弁当を広げ、お花見を始めていった。
帰りには、白が花弁を包みいっぱいにもって帰った。
「何でそんなに花弁を持ってくの？」
「これは私と兄様の初めての感情のカケラなの」
「そっか。なら、帰ったらそれで栞を作ってあげる」
「栞？」
「栞っていうのはね・・・そう、記憶の目印みたいなものだよ、今日のことも記憶の目印にできるんだよ」
「素敵・・・ってこういうことだよね？」
「うん、素敵だね」
そうして、施設で今日の記憶を閉じ込めた栞を作った。淡い桃色の記憶のカケラに、若草の和紙を重ねて作った栞は、春の思い出にもなった。
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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません！！綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀｀*)ﾉ更新ももっと早くできるよう努力しますね！良ければこれからもよろしくお願いします！！ (2018年11月23日 17時) (
レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…！花言葉等も凝っていて素晴らしいです！お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです！ (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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