木五倍子の花 ページ13
清玄(きよはる)side
気づくともう夕暮れだった。
少し強くなってきた夕日に照らされた実験室。
この施設は白には何も関係の無いものの様に話したけれど、これも嘘だった。
本当はこの施設は父が建てた、家とは別の実験施設で、地下にはあの真っ赤な部屋が残っている。
他にもずっと嘘をつき続けてる。
僕が汚い人間だってこと、本当は白は生きていないこと。
そのすべてを隠してしまう為に・・・
「白(きよ)、今日の実験はおしまいだよ」
実験を終え、ゆっくりと起き上がった白の目は宝石の様にすんでいて、少し無機質に見えた。
「清玄」 「えっ、白？」
ふわりと妖艶な笑みを浮かべた白はゆっくりと僕を包み込んだ。
「清玄、嘘つかなくて良いのよ？今は・・・」
「母、様・・・？」
その白のものではない言葉に鳥肌がたった。
何で、どうして、母様が・・・？
乗り移った・・・？僕が過去を振り返りすぎたから？
でも、母様とは雰囲気が違うような・・・な
ら誰・・・・？
違う、そんなことじゃない。
白は僕の過去を知ってしまったのか？あんなに真っ赤でどろどろな過去を・・・
「大丈夫、あなたならきっと・・・」
最後まで言い切ることなく白は力なく崩れ落ちた。
「白っ！！白っ！！」
僕はすがるような声をあげ、白を揺さぶり続けた。
「兄様、どうしたの・・・？痛いよ」
「白っ・・・！良かった」
弱々しい白を僕はかたく、かたく抱き締めた。
もう、離さないように。
僕の腕は弱く震えていた。
「ごめん、ごめん、ごめんなさいぃ・・・」
白side
ずっと涙を流しながらごめんと謝る兄様は消えてしまいそうだった。
私は力の入らない手で兄様を抱き締めた。
もう、離さないように。
あれ？
今日は長い物語を見ていたようだった。
よく覚えていないけど、星が綺麗だったことだけは覚えてる。
何より今は、兄様を安心させたい。
「兄様、今日は絵本を読んでほしいな、星のお話」
「いいけど、今日の実験はどうだった・・・？」
「よく覚えていなくて・・・でも星が綺麗だった、図鑑でみたよりずっと」
「そうか・・・」
そういい兄様は力を緩めて私の肩から手を下ろした。
「すぐに、本物を見せてあげる。夏になればとっても綺麗に見えるよ」
涙を脱ぐって兄様は微笑んだ。もう震えは止まっていた。
「さあ行こう、もうご飯にしないと」
歩き始めた兄様の足元には木五倍子(きぶし)の花が落ちていた。
【木五倍子】(きぶし)
花言葉 嘘
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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません！！綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀｀*)ﾉ更新ももっと早くできるよう努力しますね！良ければこれからもよろしくお願いします！！ (2018年11月23日 17時) (
レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…！花言葉等も凝っていて素晴らしいです！お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです！ (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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