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ごめんね ページ12

白(きよ)がいなくなってから、父はより実験にのめり込み、自分を失っていった。

そんな父をみて、母はもう何も失いたくないと自分から消えてしまった。

「ごめんね、清玄(きよはる)。本当はずっとあなたが大好きだった。支えてくれていたもあなただったのに・・・」

母のその言葉を聞いた夜。それがもう最期の会話だと分かっていた。

「大丈夫。僕も大好きだよ。ゆっくり休んで」

「ありがとう・・・」

「うん。その代わり今晩はピアノ弾いてほしいな」

それが僕の最期のわがままで、母は弱々しい笑顔を向けたあと大粒の涙を流しながらピアノを弾いてくれたのだった。



それから、父のそばでずっと実験の手伝いをしていた僕は自分を失っていく父のことをだんだん嫌いになっていった。

ずっと誰かを助けようとするから自分の助け方を忘れてしまったんだ。

そのくせ何も大事なことは分かってない。白のことも、母だって結局助けられなかったくせにと。

そうして長い時が過ぎた、ある朝。

父は実験室で事切れていた。なんとも彼らしい最期だった。

涙なんて一粒も流れなかった。


父が死んで3日が過ぎた頃、ふらっと立ち寄った父の書斎。

子供の頃は危ないからと入れてもらえなかったその場所に、足を踏み入れた。

部屋に広がるインクと薬品の匂い。

机の上に広がっている書類の山を見て、僕は驚愕した。

赤黒い染みで汚れた書類には其々の個人情報が書かれていて、細胞の様子や骨格までありとあらゆる情報が書かれていた。

「何だよ・・・これ・・・」

次々に書類を捲り、最後の書類には見たこともない部屋の番号があった。

いやな予感がして、その部屋と施設を突き止め急いで向かった。

「ここか」

そこは地下室だった。湿っぽい廊下を進むと大きな扉が見えてきた。

ゆっくりと扉を開く・・・

「嘘だろ・・・」

その光景を見にした瞬間、僕は頭を抱え、膝から崩れ落ちた。

冷たいタイルには真っ赤な液体、目の前には大きなホルマリン漬けの様に色んな死に方の沢山の人が保存されていた。

奥には人を殺めたであろう、道具が散乱していた。


呆然としたままでいると、ふとある資料が目に付いた。

それは、白を生き返らせるための研究資料であった。

それを見てから僕は父の実験に手を染めてしまった。

色々な人を殺し、奪った。

それでもどうしても白に会いたかった。星を見せてやりたかった。

だから僕は汚い嘘付きになっちゃったんだ、ごめんね白・・・

木五倍子の花→←昔の話



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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません!!綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ更新ももっと早くできるよう努力しますね!良ければこれからもよろしくお願いします!! (2018年11月23日 17時) (レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…!花言葉等も凝っていて素晴らしいです!お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです! (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リン | 作者ホームページ:(´▽`*)ノシ  
作成日時:2016年12月27日 12時

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