世界の中心 ページ10
「あの……Aさん。
燈矢お兄さんと君は仲がよかったって聞いたんだけど…」
気まずい沈黙を打ち破ったのは緑谷さんだった。
後ろを振り返ると、大きな緑色の目が光を抱いている。
目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。
爆豪さんも、外を見ながら時折私の方をチラリと見る。
また前に向き直り、口を開いた。
「……カルガモの親子のようなものです。
理由は分からないけど、兄は……燈矢お兄ちゃんは私が生まれた時から可愛がってくれて、気づけば私はいつもお兄ちゃんの後に引っ付いていました。」
「もう姉たちから聞いていると思いますが、私は父や母とあまり関わって来なかったので、お兄ちゃんしか頼れる人がいなかったんです。
……手のかかる子供だったと思います。」
「そんなっ…」
「黙っとけ舐めプ。」
何か言おうとした兄さんを爆豪さんが静かに制す。私はまた口を開いた。
「兄が全てでした。
私の世界の中心はお兄ちゃんで、お兄ちゃんの幸せが私の幸せでした。」
だからもう会えないと知った時、私は確かに絶望した。
誰に強制されるでもなく、ヒーローになろうとひたむきに努力していたお兄ちゃんが真っ先に天国へ連れ去られるなんて。
「…そっか。」
声に何て言ったらいいんだろうという思いが滲み出ている。
私は少し笑って、
「この話は終わりにしましょ。
今は、幸せなんです私。友達もいるし学校も楽しいから。」と言った。
「俺も安心したよ。嬢ちゃんの口から話を聞けて。」
車田さんはちらっと私を見て穏やかに言った。
雄英のある山が見えてきた。
みんな心配してるかなぁ。
帰ってくると、いつもおかえりと言ってくれるクラスのみんなを思い浮かべてひとり笑った。
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くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
