日向と日陰 ページ7
「兄さ＿＿＿」
見上げた兄の横顔が一瞬燈矢お兄ちゃんに重なった。
「ん？どうした…おい、A？」
「な、んでもない…大丈夫。」
「また、泣いてる。どっか痛いか？」
目が合った時には、いつもの苦手な兄の顔だった。
夜な夜な『ヒーローになりたい』と言っていたあの人はもうどこにもいない。
憎悪と怨讐の業火に焼かれてしまった。
荼毘さんになって、消えてしまった正義に憧れてやまない顔。
大好きだったのになぁ…どうして、ああなっちゃったんだろ。
「お前は日陰じゃなく日向を歩くべきなんだ。」
あの日の言葉が蘇る。
お兄ちゃんの言う日向と日陰は、多分普通の生活と裏社会のこと。
犯罪に手を染めたことなんてあるわけない私が日陰と繋がる方法は荼毘さんただ一人。
でも私は、なんとなく自分がその境界線の上にいる気がする。
綱渡りのようにフラフラとバランスをとりながら進んでいるのだ。
荼毘さんに惹かれつつも、兄や姉、心操くん、ゆいこ、緑谷さん日向にいる色んな人の手を離せないでいる。
陰は薄くなるばかりだ。
「にぃさん……」
「ん？」
「私、これからどうすればいいのかな。」
「お？………とりあえず、事情聴取？」
「……そう。」
「……あのさ、A……俺と「Aっ！」
兄さんの言葉を遮る声で我に帰った。
夏兄が私の元に来て、怪我はないかとアタフタし始める。
「大丈夫だから。」
「よかった……お前の炎で助けられたよ。
正直、敵よりも火ィの方が怖かったけど。」
「ふふ、だから言ったでしょ。夏兄は心配しなくて大丈夫だって。」
「っ……ありがとう。Aに助けられてばっかだな俺。体何ともないか？」
「夏兄はいつも私を助けてくれるから、むしろここでお返しができてよかった。
まだキャパでフラフラするけど平気だよ。」
「そっか、よかった。
にしても、あれだけの炎でよく制服焦げてないよな。」
「……不思議だよね。」
改めて自分の左手をマジマジと見る。
そりゃ使いすぎたら熱いけど、兄さんのように制服に焦げひとつ見当たらないのは不思議だ。
どうしてだろ。そんな疑問で頭がいっぱいだった。
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くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
