【ツイステ】殴れ、リドル。2 《完結済み》

55話 ページ8

そう言うリドルの表情は、どこも成長していない自分に怯えるように。


「怖くないのかい、キミ。こんな格好をしているところをお母様に見られたら……」

「ふはは、気絶するかもしんねぇな。……まあオレのこれはあれだよ、半分……いや半分以上逆張りだよ。こっち来て少ししたくらいからこう言う服ばっか着てたが、本当に好きんなってきたのは最近だ」

「……強いね」

「似合ってるって褒めてくれるこっちの家の人たちのお陰も多分にあるが」


こう言った格好をしている子どもたちを見て、嘆かわしいと、こんな格好をするなと、こんな格好をするのは育ちが悪くて頭の悪い証拠だと再三言っていた母を思い出す。


「はー、思い出すとマジでくだらねぇしムカつくな……ぜってぇ学年1位のまんま、この格好し続けてやる」

「ふふふ、いいね」

「はは、超チルなラッパーにでもなっかなー」

「……？ちょうちる……？」

「ああいや、いいよ気にしなくて……んでさリドル、大晦日の夜から自治体で広場集まって新年のパーティーあるんだけど……お前行こうぜ。眠くなったら途中で抜けりゃいいから」

「……よ、夜から外出……？昼夜逆転……」

「しちまったとしても学校始まるまでに戻せば良いだろ」

「……お母様が聞いたらなんて」

「オレと一緒に悪いコトしようぜ」


そう言うAの表情は、小悪魔のように、蠱惑的に。


「……キミと一緒なら、……いいかな」

「……リドルー！」

「わ！」


自らの胸に飛び込んできたAを、床に背を転がしながらも受け止めるリドルの頬は、自然に上に上がってしまうのかぴくぴくと痙攣していて。


「お前ほんっとめちゃくちゃかわいいなあ」


そう言って肩を撫でられ、諦めたのか顔を素直に綻ばせるリドルに、自然と肩を撫でる手が速くなった。

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