85話 ページ38
「……ど、どういう、意味だい、それは」
当然、父親は肩を竦め、顎を引いて。
「すみません、私からも……頼んで、いいですか」
鳩尾のあたりを揉みながら言うと、Aの苦しげな様子から出た言葉に、父親は呆気に取られたようにして。
尚も言葉を紡ぐ。
「……お父さんだけ、無傷なんて」
「……」
「誰か特別扱いなんて……家庭内暴力は家庭内のうちに終わらせて、それでもう、お互いに全部許して、痛み分けってことで終わりにさせてください」
「終わらせる……？」
「……、戸籍上どうするかはまた後で問題が起きてからで良いですが、リドルも私も、もうこの家には住みません」
リドルはそれに頷いて同意する。
「……お母さんだけって……お母さんだけって変だって、あなただってそう思いませんか」
「……」
「あなたが放っておいたからお母さんがああなった。全てとは当然言いませんが、一端はある。おわかりでしょう」
「……ふふふ、はは」
父親は何故か、楽しそうに笑い。
「そうか……そうかそうか。良かったよ。僕も、Aにどう謝っていいものか、すごく困っていて」
そう言う父親の表情は、本当に晴れ晴れとしたもので。
「機会をくれてありがとう。勿論、いいよ。2人の仲が良いようで嬉しいよ」
「……」
「ごめんねA、リドル。ずっと謝りたかった。言う通りだ。お父さんはお父さん失格だよ。でも、キミたちはこんな親でもちゃんとそこまで考えられて、成長できて、すごく偉いね」
「……」
「良いよ。勿論。巣立ちの時だ。……あんまり良い巣を用意できてあげられなくて、本当にごめん」
リドルの手を掴むと、リドルは、驚いたような、焦ったような顔をして振り向いた。Aは尋ねる。
「父さんが良いって言うと思わなかったのか？」
「う、うん……逃げるか怒るかするものだと」
だからこその先程までの余裕であったのか、と合点が行き顔を顰める。リドルの自分への執着具合からいって、自分を目の前で殴った人間を殴るくらいあまり心理的抵抗はないように感じるが、しかしその人間が心から反省しているとなると。
溜め息を吐く。
「殴れ」
「……」
「ちゃんと肩入れろ。腑抜けた拳見せるなよ」
両手で包んでいるリドルの手が震える。
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功徳(プロフ) - オパールさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました🥰他の作品でもお待ちしてます🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - 2人ともかっわいい…。溶ける！素晴らしい作品を作ってくれて、本当にありがとうございますっ！ (11月10日 20時) (レス) @page47 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - Shiroさん» ｳﾜｰありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいすぎる……😚😚😚好き…… (2023年1月14日 23時) (レス) @page17 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。素晴らしい作品をありがとうございました！！読み進めていくうちに心が抉られ揺さぶられ、感動の連続でした。心情を細やかに書き出すことのできる語彙力・文章力、私も見習いたいです。本当に素敵な作品でした！✨ (2023年1月4日 2時) (レス) @page47 id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - チョコドーナツさん» お読みいただきありがとうございましたすぎる……！！！🥰🥰🥰タイトル回収のとこ盛り上がると思ってたのでめちゃ嬉しいです🥰🥰🥰ﾔｯﾀｰ‼️ (2022年8月1日 12時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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