81話 ページ34
「いいよ、リドル」
軽く頷いてAはそう言った。実際に対面したらやはり恐怖が上回ると、知っていた。だから、帰ってあとで泣いて謝ってきたら、それで許してやろうと思った。
そして、それを寮生たちに笑い話として聞かせて、恥ずかしがらせてやろうと思った。
「い……いいの？」
「いいよ」
「……ありがとう、ごめんね」
リドルはそう言ってぐっと唇を噛み締め、自らの手を見つめてそれを振り上げ──Aは歯を食い縛って目を瞑った。
ばちん、と、良い音が鳴る。良い音が鳴った。けれど。Aの頬にはなんの感覚もなく──目をそっと開くと。
呆気に取られた表情をした母親の頬に、大きな紅葉がついており。
「……」
リドルは何を思ったのか、もう一度逆の手を振り上げて、母親の反対側の頬を打った。そして、Aの手枷を消して。
「リ……リドル！？リドルお母様に、お母様に……」
「……すみません、お休みなさい」
リドルはマジカルペンを母親に躊躇いなく向け、何か気絶させる魔法を使ったのだろう。母親はそのまま横へ倒れた。Aは倒れる母親の身体をなんとかぎりぎり落ち切る前に捕まえ持って、そっと頭をフローリングへ置いて。
リドルを勢いよく振り返ると──リドルは上機嫌そうに頬を染め、微笑んで。晴々とした表情で。
「……やっぱりAは優しいね」
と言った。
「あと一箇所だけ付き合って」
言われたその言葉に反応する余裕などある筈もなく。
「おっ……おま……違……違ぇよ！！！」
「なっなっ……何……！？」
「オレは母親ビンタすること許可した訳じゃっ……！……ぅは、はははは！」
ぽたぽた、と原因不明の涙と笑いが込み上げ、Aは母親の頭の上で、袖で涙を拭い、止まらない笑いと涙を、歯を食い縛って、ただ、にわか雨が過ぎるのを待つように。
「A……」
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功徳(プロフ) - オパールさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました🥰他の作品でもお待ちしてます🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - 2人ともかっわいい…。溶ける！素晴らしい作品を作ってくれて、本当にありがとうございますっ！ (11月10日 20時) (レス) @page47 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - Shiroさん» ｳﾜｰありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいすぎる……😚😚😚好き…… (2023年1月14日 23時) (レス) @page17 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。素晴らしい作品をありがとうございました！！読み進めていくうちに心が抉られ揺さぶられ、感動の連続でした。心情を細やかに書き出すことのできる語彙力・文章力、私も見習いたいです。本当に素敵な作品でした！✨ (2023年1月4日 2時) (レス) @page47 id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - チョコドーナツさん» お読みいただきありがとうございましたすぎる……！！！🥰🥰🥰タイトル回収のとこ盛り上がると思ってたのでめちゃ嬉しいです🥰🥰🥰ﾔｯﾀｰ‼️ (2022年8月1日 12時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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