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「あかんほんま熱い」

「逆上せた」




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屈強な男子大学生の中から、2人ほど、熱さに音を上げた者が出て、若者たちは、それからあっというまに上がってしまった。


彼らは、大野の存在をちっとも気にしなかった。

湯気が顔を隠してくれたせいか、もしくは、大野が隅で小さくじっとしていたからか。

あるいは、彼らが自分たち以外に全く興味を示さなかったからかもしれなかった。


どれにしても、彼らは大野が芸能人であることはおろか、その存在にすら気付いていないふうだった。


大野にとってはそれは都合が良かった。


壁になったような気分で、ひとの、さほど重大ではない会話に耳を傾けるのは、悪い気分ではなかった。

休日の昼下がりにラジオを聴いているような気分だった。それも悪くないラジオ。



しかし、すっかり のぼせてしまった。




綿あめのように柔く心を癒した湯気は、もはや、肩から上を侵す熱気でしかなかった。

大野はふらふらと湯を上がり、誰にも直されないように浴衣を丁寧に着て、涼しさだけを求めて外に出た。



外は既に、紺の闇に包まれていた。

少し歩いて、自販機でミネラルウォーターを買い、少しずつ飲みながら、宿への道を歩いた。


カランと下駄を鳴らして歩けば、ぼうっとした頭にその音が気持ちよく、吹いてくる夜風も、湯上りに適していた。



----『あ、そういや、すぐ逆上せるんだからあんま長いこと入るのやめときなよ?』



数日前、二宮に言われたばかりのことを思い出して


(…さすがっていうか…恥ずかし…)


ふ、と鼻の先ですこし笑った。


誰も見ていやしないのに、本当に恥ずかしくなってきた大野は、冷たいペットボトルを首に、頬に、額に当てながら、身体を冷まし冷まし歩く。



鴻の湯で聞いた、男子学生たちの会話が、今になってじわじわと大野の頬を温めて

宿の前までたどり着いたとき、裏の非常口から入るのが妙にさみしく、正面玄関の灯りがあまりに温かな色をしていたので


つい、フロントの方から入ってしまった。





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友→←熱



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きんにく(プロフ) - 律さん» 律さん!こちらにも来ていただいて本当に幸せです〜ありがとうございます(泣)ご期待に添えるようなお話が書けたらなと思います! (2021年1月8日 11時) (レス) id: d7e5080941 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - はるさん» はるさんはじめまして!お越しいただき誠にありがとうございます。そんなふうに言ってもらえて幸せです♪がんばります! (2021年1月8日 11時) (レス) id: d7e5080941 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - やっぱりきんにくさんの小説が大好きです!癒しです!続き楽しみにしてます! (2021年1月6日 19時) (レス) id: 820f2de8f4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - きんにくさん、初めまして。素敵なお話ありがとうございます。これからも楽しみにしています。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - satominさん» satominさんありがとうございます♪毎度毎度、恐縮でございます。おおお…私が読んでる本は暗くて長くて素敵な本です(笑)その人たちみたいに書けたらなあと思いながらなかなか…な日々です(笑)嬉しいことを聞いてくださってありがとうございました♪ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 3c003d42b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きんにく | 作成日時:2020年10月19日 16時

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