無駄な出費 ページ37
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外回りは特に問題なかったため、時間は早いが中へと戻った。
凪砂様を中心に何やら話し合いをしている。
Edenの衣装に着替え、ヘアセットとメイクが完璧に整った彼らはとても美しく、つい見惚れてしまう。
…いけない、私はライブを見に来た人間じゃない。
｢すみません、巴さん。先程連絡頂いたリュックの件なんですが…｣
｢あ、はい。何かありましたか｣
｢はい。表の人だかりの中に落ちていたようでして…中身はなかったそうなんですが｣
｢やはり盗まれてますよね…物はどちらへ？本人へ届けてきます。｣
｢案内します！｣
コズプロ職員の方に先程の女の子が失くしたリュックがあるところまで案内してもらった。
大勢いる中で見つけるのは不可能だ、連絡先聞いといてよかった…
メッセージのアプリなどはまだ使いこなせないが電話だけはいける。問題ない。
｢もしもし、先程リュック紛失の件で対応させていただいた巴ですが…はい、ありましたので今からお伝えする場所へお越しください。｣
人が少ない会場横のスペースに呼び出し、そこで本人を待った。
｢あ、すみません！ありがとうございますっ｣
｢見つかってよかったのですが…中身がなかったようでして、念の為確認を｣
｢中身…あ、どうしよ、｣
｢何か、大切なもの等ありました？｣
｢帰りの電車代が、ないです、｣
｢…、これを。｣
｢へ、そんな、！｣
電車代がいくらかかるかは分からないが、予備で胸ポケットにしまっていた札を渡した。
完全に私のお金だが仕方ない。ここで時間を取られては後々面倒だし…
秘密ですよ、と人差し指を唇に当てればわかりやすくボンッと顔が赤くなった。
｢は、はひっ…！｣
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作者名：はなちゃ | 作成日時：2022年9月21日 22時
