水中のような息苦しさ ページ18
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｢七種くんとご飯に行ってました｣
｢ご飯？茨と2人で？｣
日和お兄様が聞き返せば少し頬を赤らめて嬉しそうにはいっと頷いた。
さっき弓弦様に嫉妬していたのは誰でしたっけ。
わざとなのか鈍感なのか…いや、茨が鈍感なわけない。
気づいててやったのか。
救いを求めるように日和お兄様の方を見れば困ったように眉を八の字にしていた。
｢A、ちょっといいすか？｣
｢じゅん｣
嬉しそうにするあんず様といつも通りの茨。
その2人を遮るようにジュンが目の前に立った。
差し伸べられた手を取り、ソファから立ち上がる
手を取った時茨が反応したのは視界の端に見えていたが、あんず様がこの場にいる以上変な言動を取れば察されてしまうかもしれない。
……そんな下手なこと、茨はしない。
｢おひいさん、すんませんちょっと席外します｣
｢仕方ないね。あんずちゃんには悪いけど僕も茨に用があるから、｣
…言葉には出さないが出ていけと言っている。
ニコニコしているけど、纏っている雰囲気はおぞましい。
茨も何かを察しているようで溜息をついていた。
部屋の外に出れば張り詰めた空気から開放された気がした。
｢行きましょう、A。腹減ってません？｣
｢減ってます。勿論ジュンの奢りですよね？｣
｢あはは、程々にしてくださいよぉ〜｣
揶揄うように言えば、アイデンティティでもある八重歯を出して笑った。
ジュンは鈍感なのかと思ったけど意外とそうでもないかも。
｢ありがとうございます。ジュン｣
｢さぁ？なんの事だか。俺はただ腹減っただけっすよ。こちらこそ飯に付き合ってくれてありがとうございます｣
今はその気遣いが嬉しい。
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作者名：はなちゃ | 作成日時：2022年10月12日 18時
