ただの芸能人とファン2 ページ27
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どんな食べ物が好きで、何が嫌いで
お休みの日はなにしてるのかとか
好きな色とか音楽とか
…過去にどんな人と付き合ったのか
自分は散々取材で聞かれて答えているが
Aのことは何も知らなかった。
何も知らないはずなのに、Aを想えば胸がキュッとなって、連絡来ないはずなのにトークを遡ったり変なことばかりしてしまうのだ。
傍にいた時は安心感を覚えて落ち着くし、何故か眠たくなるし不思議なことばかり起きた。
Aに会いたい。
知らないことが無くなるくらい頭の中をAで埋めたい。
誕生日会の後、夜の街並みを一人歩きだした。
まだまだコートやマフラーが手放せないくらい寒いが、これから春になろう所。
そういえばAと初めて会ったのも冬だっけ。
｢…Aはん｣
はあ、と白い息をはく。
メッセージアプリを使えば簡単なんだろうけど
もし届かなかったら？既読が付かなかったら？
…彼氏ができていたら？
そう思うと怖くて使えなかった。
Aはもう26歳になっているはず
そういえば年の差は知っていたが、誕生日も知らない。
はぁ、とまた違う意味のため息が出た。
そのとき、
｢……こはきゅ、ん｣
｢！！！｣
人通りの少ない夜の街で
懐かしい声が聞こえた。
気付けば下を向いて歩いてたらしい。
その声がした前を向けば、驚いたAの顔があった。
｢！ちょ、こはきゅん！？｣
｢堪忍な。遅くなったわ｣
｢っ、ほんとだよ｣
暗くなった路上で抱き合うカップルなんてそこらじゅうにいて、他の人間誰もが自分たちのことを気にはとめなかった。
前は自分より少し小さかったはずが、いつの間にか自分の方が明らかに目線が上になっていた。
抱き潰してしまうんじゃないか、そう思ったが抱き締めることを辞められなかった。
｢Aはん…っ｣
｢うぅ〜…会いたかった、｣
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作者名：はなちゃ | 作成日時：2021年6月26日 21時
