優しさをください。91 ページ26
――私が悲鳴をあげたにもかかわらず、佐竹くんのその手の力は弱くならなかった。あまりの痛みに、私は手から力が抜けて、せっかく安室さんに買ってもらったスマートフォンが地面に落ちる。
ぱきんっ、と音を立てたかと思うと、画面に大きくヒビが入っていた。
あ、と思うけれど、今はそれよりも目の前にいる彼のことをなんとかしなければいけないと思い直し、私はスマートフォンから視線を外し、目の前にいる佐竹くんを怯えた瞳で見つめる。
『は、離して、お願い、だから…っ』
震える声で必死に訴えているのに、佐竹くんは無表情のまま、私を見つめ続けている。
それに恐怖を感じながらも、私はちらと、下に落ちてしまったスマートフォンを気にする。
と。
佐「いま、Aちゃんは僕と話してるよね？」
『！』
佐「他に意識が行いくのは、なんだか許せないなぁー」
『そ、そんなことを言われても……！と、とにかく、手を離してくれませんか？』
佐「どうして？」
『ど、うして、って……』
佐「君は、僕のものなんだから、僕がどうしようと勝手でしょう？」
『な、……っ！？』
佐竹君の言葉に、私は言葉を失う。この人は一体何を言っているのだろう。
そんなことを思って見つめると、ふふっと、目の前の人が微笑み、私の体をぐっと引き寄せた。
それにバランスを崩して、私はふらりとし、そのまま佐竹君に体を近づける。
首元に手を差し入れられて、そのまま髪をさらりと攫われた。佐竹君の手から溢れる自分の髪に、私はなんとなくの既視感を感じつつも、同時に恐怖も感じる。
佐「ねえ、キスしよう？」
『え……？』
佐「僕たち、恋人同士だったんだよ。だから、キスも普通にしてた」
『ま、待ってください！突然、そんなことを、言われても……！』
頭が混乱する。
だから、変なことは言わないでと強く思ってしまう。それに。
『(私は、安室さんが……！！)』
自分の中に固まっている気持ちがあるのに、違う人の思いを受け入れることなんてできない。
そう言葉にしたいけれど、なぜかそれを言ってはいけないような気がして、私はそのまま黙してしまう。
黙ってしまった私に、何か思うことがあったのか。
佐竹君が再び私の髪をさらい始めた。
佐「こうやって……君の髪を何度も触った。君の頬にも、額にも。もちろん、その唇にも、ね」
『っ！！』
佐「思い出せないのなら、一緒におもいだそっか？」
そう言って、佐竹君の顔が私に近づいた。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
