優しさをください。32 ページ42
突然力を無くしたように目の前で倒れた私に驚いたのか、安室さんもコナンくんも蘭さんも、パニックになっている。
しかし、安室さんとコナンくんはすぐなら冷静さを引き戻して私のそばに屈み込む。
安「触られることに抵抗があるかもしれないが、我慢してくれ！」
安室さんは私にそういうと私の身体を触って確認をし始めた。
安「僕に触られているという感覚は？」
『…………』
ない。
そう言いたいのに、声が出ない。
安「声、出るか？」
(…………』
出ない。
無言を貫き通す。
安「……神経毒か。殺すつもりがなかったのなら、おそらく数日で抜けるとは思うが……」
コ「でもそれは、健康な体を持った人にだけ適用することだよ。今のAさんは、全身傷だらけで、抵抗も弱くなってるはず。下手すると、命に関わる！」
安「ああ、わかっている」
安室さんとコナンくんの言葉を聞きながら、だんだんと、意識が朦朧としてきたのを自覚する。
白濁とした意識の中で、私は安室さんの声を求める。
安室さんの瞳の色を求める。
大好きな、空の色。その瞳で見つめてもらえるのなら、それ以上に嬉しいのことはない。
狭い狭い箱の中で、見上げた空の色は、忘れられないのだ。
『(……？私は、なにを思ってるの？)』
突然入ってきたその情報の意識に、私は困惑する。何を考えているのだろう。どうしてそんなことを思ったのだろう。
なにか、怖いものを見た。
だからこそ、私の体は極限状態にもかかわらず、無理に動かすことができたのだ。
神経毒と、恐怖でこわばって動かないはずな体が、驚くほどに動いていく。全身のあちこちで痛みが広かったけれど、そんなことは気にしていられない。
早く、ここから逃げなければ。
そばににいてはいけない。
迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
だからこそ、離れなければ。
安「！？Aっ！？」
『……っ！！』
安「無理に動くな！傷が……っ！！」
それでも。
私は。
あなたから、離れたい――。
必死に体を動かして、痛みを訴える全身に気づかないふりをして。
じわりじわりと馴染む血が、せっかく蘭さんに借りた服を赤に染め上げていく。
それを見て、蘭さんも悲鳴をあげる。動かないでと、私に向かって叫んでいる。
でも、それでも。
私はその言葉を受け入れることができないのだ。
安「A！」
必死に立ち上がって、その手を振り払って。
目の前にいる男に向かって、体を動かした瞬間に、後ろから拘束するように抱きしめられた。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
