優しさをください。28 ページ38
蘭「……どことは言いませけど、苦しそうだし……」
モゴモゴと何かを言った蘭さんに首を傾げながら、私はぼうっと目の前を見つめる。
ふっと、自分から離れてしまった窓を見つめる。また行く人が急いでいたり、のんびりと歩いていたり、様々な光景が、その窓から見える。
それを見つめながら、日の明るさに目を細める。
きっと、空は驚くほどに綺麗な青なんだろうなと考える。
安「お待たせしました」
横から声が聞こえて、見上げる。
褐色の肌に少しだけ襟足が長い金髪に、焦がれてやまない、青の瞳。
目を細める。
安「？Aさん？」
『…………好きです……』
安「……………………」
『大好きです』
安「……っ！？」
ポツリと溢れて言葉に、安室さんが焦ったように少しだけ頬に朱を走らせる。
それをそばで解体は蘭さんも、コナンくんも、「えっ！？」と二人で声を出しているのが聞こえてきて、少し離れたところでは梓さんが「やだ、Aちゃんってば大胆！」と声を出しているのが聞こえてくる。
けれど、みんなの反応とは別に、私は首を傾げた。
『皆さんも好きですよね？』
蘭「えっ！？あ、はい、好きですけど、その先とは別というか……」
コ「……ぼ、僕も大好きだよー？」
梓「もちろん！大事だとは思ってますよ！」
『やっぱり、みんな大好きですよね……。私も、大好きなんです』
蘭「だ、大好きって……！」
コ「安室のにいちゃん、何したの……」
梓「押せ押せですね！もうゴールインは目の前じゃないですか！」
安「ちょ、皆さん！からかわないでくださ――」
『私、大好きなんです。……空が！』
蘭「…………えっ」
コ「…………えっ」
梓「…………え？」
安「…………………………」
しんと静まったポアロの中。
けれど、私はそれに気づくことなく、熱弁する。
『空の青さがすごく好きで、ほら、包み込んでくれるみたいな感じがすごく素敵だと思うんです。手を伸ばしても届かない感じとか、高嶺の花って感じですよね。それなのに、視界には目一杯に映ってくれる……』
蘭「……ま、待って。待って！Aさん！？」
『はい？』
蘭「いま、好きって、大好きって言ってたのって……」
『もちろん、空の話ですけど……。でも、皆さんも好きって言ってましたよね？』
しん、と静まり返る店内。
……あれ、なんだろう、この雰囲気。
私、何か悪いことでも言ったのかな……？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 281人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
