優しさをください。10 ページ12
『あ、あの……』
相手は起きたものだと思ったから、私は声をあげたのだ。
それなのに。
安「……もう少し、眠ってください」
安室さんがそんなことを掠れた声で、甘く優しく呟くものだから、心臓がどきん、と高鳴る。
やばい。この人、イケメンさんだ。いや、それはどうでもいい。
それよりも、私を抱き枕みたく抱きしめないで！！
心臓が！！破裂しそう！！
『あ、安室さん！！お、お、起きましょう！？』
覚醒した私にこの体制は心臓に悪すぎる。だから、早く離してほしい。
私の声に反応して、安室さんは覚醒したらしい。少しだけ寝ぼけ眼なのは寝起きなんだから仕方がない。
が。
……色気が、半端なくて私は視線を今すぐにそらしたい。
いや、やればいいんだけど、何せほら、私は安室さんに抱きしめられているので、それができる状況ではないんですよ。悲しいかな、この事実。
安「……Aさん、起きたんですね。おはようございます」
『お、おはようございます……』
安「体の具合は？そろそろガーゼや包帯をかえないといけませんね」
『あ、いや…そこまでしていただかなくてもいいです……』
安「そのままにしておくわけにもいかないでしょう？午後、蘭さんが学校から戻ったのを見計らってお邪魔しましょう。流石に女性の全身の治療は、僕にもできませんから」
いや、やらなくてもいいって言っている私の言葉は丸無視ですか。
結構強引な人だな、この人。
安「ところで、お腹空きません？」
『それよりも、早くこの体制から解放してほしいです』
そう、私は今だに安室さんに抱きしめられているまま。このまま会話をしてもいいんだけど、話が右から左に流れてしまって、頭の中に入ってこない。
それは、大いに困ることだと思う。
安「ああ、申し訳ありません。ちょっと待ってくださいね」
そう言って、安室さんは私の頭の下から腕を抜く。……腕枕までしてもらっていたのか私。ものすごく申し訳ない。
そして、安室さんは私を見てにこりと微笑んだ。
……な、なんだろう？
安「Aさん。手、離していただいても？」
『……あ、す、すみません……っ！！』
安「いえいえ。じゃあ、何か簡単に食べられるものを作りますから、まっっていてくださいね」
『え、そこまでしていただかなくても……っ、いっ…た…』
安「無理に動いてはいけませんよ。要安静です。じゃ、待っていてくださいね」
そう言って、安室さんは寝室を出て行った。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
