優しさをください。2 ページ2
そう。悲鳴をあげたと思った、けれど、私の喉はすでに凍り付いていて、悲鳴をあげることすらもできない。全く、こういったときの人間の恐怖心というのは、なんとも厄介だなと思う。
全力で悲鳴をあげれば、もしかしたらよかったのかもしれない。けれど、それが叶わないというのはすでに証明された。
では、あとはどうすればいのか。
身をまかせるしか、私には選択肢がない。
ぎゅうっと強く閉じている瞳から涙が滲んで来て、頬を濡らす。
怖い。
ただその一言に尽きる。
ガッと、私のすぐ近くで、何かを殴るような音がした。体から重みがなくなって、肌からあの気持ち悪い温もりもなくなる。
驚いてハッと瞼をあげると、先ほどまで私に覆いかぶさっていたであろう、小太りの男は、今現状で私の視界には入っていない。代わりに、私のすぐそばにしゃがみ込んで、心配そうに覗き込んでいる青色の瞳と視線が合う。
？「大丈夫ですか？」
『…………』
？「あ、怖がらないでください。僕は何もしませんよ。あなたに触ることもしません」
『…………』
？「傷だらけみたいですけど、何があったのか教えていただいてもよろしいですか？」
『………』
？「あの？」
現状がわからなさすぎて、けれど、私は助かったんだ、という安堵感に包まれて。
私は意識をそのままゆっくりと手放した。
* *
瞳に、明るさを感じて。私の意識は浮上した。
『…………？』
瞳に映るのは白い壁。いや、私自身が今仰向けになっているのだから天井と言う方が正しいかもしれない。
そして、私はなぜかフカフカとしたベッドの中にいる。
状況が全くわからない。
私は身体を少しだけ動かしてみる。けれど、全身が痛みで悲鳴をあげて身体を動かすことは諦めた。
……ここは、どこなんだろう。
そんなことを考えていると、足元の方から扉を開くような音がする。そして、女の子の声が聞こえて来た。
？「あ、起きましたか？体の具合はどうですか？」
『……あ、の…ここは……げほっ、ごほっ！？』
？「ああっ、急に喋っちゃだめですよ！これ、お水です！」
『あ、り……』
？「無理しないで、ゆっくりと飲んでください」
そう言われて、私は上半身を起こしてもらうのを手伝ってもらいつつ、身体を支えてもらいながら差し出されたコップの中に入っているお水をゆっくりと飲み込んでいった。
口の中が潤って少しホッとする。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
