どうしたらいいの ページ35
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背筋に氷水を垂れ流されたような、気持ち悪くて気味が悪くて全く吐き気を催す感覚は、酷く久し振りに思えた。指先まで痺れが走り、震える唇とちかちかと瞬く視界は、一体全体何故だろうか。
此の場に居る全ての人間からの視線がまるで鋭利な短刀のように全身を容赦無く切り裂き、――嗚呼、痛い痛い痛い、やめてよ、どうして私ばっかり、
咽び泣きたくなる程の嫌悪感だけが、只々Aの身体を支配しては、肯定の意を返す事を拒否していた。
「‥‥‥‥‥A」
『_________や____す、』
震える、震える、一体此れは何への恐怖？
嗚呼、そうか。此れこそがきっと私が今迄持ち得る事の出来なかったものなのか。
彼等が求めるのは、只々淡々と目の前の処刑対象をその異能力によって処分する事のみ。抑も、Aへ求めているのは、純粋なまでの異能力の益、其れだけなのだから。此処で断れば、少しでも首を横に動かせば、どうなるか分かっているのでしょう？そうやって何かが心に囁きかけるのだ。そうだそうだ、分かってる、分かってる、分かってる――！
「____Aちゃん」
『‥‥‥っ、折口さ、』
「駄目やで、ぜぇんぜん駄目や。
‥‥何を迷う事があるん？キミは一体全体、今何を思ってるん？」
折口の目は、至って冷静だった。
寧ろ、まるでAを責め立てる凄みすらあった。
格子の向こうから、血の気のない死人のように真白な指を差し出す。それが意味する事を、瞬時に理解出来た。
折口の目の前で可哀想な程に真っ青な顔色で、その紅茶色に恐怖だけを灯したまま自身を見つめるAを見て、にこりと微笑を浮かべた。息を呑むほどの、美麗なものであった。
「Aちゃん、おめでとう。」
――今キミは、漸くキミに欠陥していた最後の
『‥‥ッ、う、ぁ‥‥』
「ええか、其れを最期の最期まで決して忘れたらあかんよ？‥‥‥其れが必要になる時が、きっと、きっと来る」
手袋を取っ払った。
白魚の様な白い指先は、震えながら彼と繋がろうと格子へと伸びる。
此れは、Aの意思では無い。
義務感と此の場を切り抜けんとする本能によって突き動かされているだけなのである。
何故、こうも恐ろしいのだろうか、何故こうも_____
人の生命を奪う事が怖いのか
触れ合った指先と指先は、一刹那の時、確かにじわりと互いの微熱を共有した。今迄経験した事のない、酷く暖かくて、残酷なものだった。
「――Aちゃん、」
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y(プロフ) - まだ、見てます。こんなに端麗な日本語で綴られた物語を書ける方、中々いないです。最高の作品です。どうか、いつか続きが読めることを願っています (2月26日 19時) (
レス) @page38 id: 02477a501f (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 何周も見てるけどやっぱ飽きないし面白いです！！更新待ってます！！！！！() (2022年11月15日 14時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
おみず - お、おわり……？？続きがまた見たいです……この先でも活躍するんだろう夢主ちゃん見たいです……！！！ (2022年11月10日 23時) (レス) @page38 id: 0c3a3b3097 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ﾆｻﾅ - 更新待ってます！！ (2022年3月14日 22時) (レス) @page38 id: 1c42f0d3fc (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、待ってめっちゃ好き。続き気になる…！更新待ってます、頑張ってください！！ (2022年2月1日 17時) (レス) @page38 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪原 ゆずき
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2016年8月4日 13時
