職権乱用反対です 。 ページ23
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ーーー嗚呼、そうだA。
「帰るついでにこの本を買ってきてくれないかい?」
先程までの真剣な顔とは打って変わって、にんまりと人の悪い笑みを浮かべる太宰に、本能が赤信号を出した。
超絶嫌な予感がする、と。
太宰はいつも以上に仰々しい身振りで、がしっ、とAの両肩を掴む。
勿論、気色悪いんで触らないで貰えますか、のAのツンデレ台詞(大嘘)もついてくる。
「…A、私は遂に見つけたのだよ…
最早この世で滅多にお目にかかる事は出来ない、稀覯本!!
“完全自 殺読本”をね!!」
『一回死んでくれません?』
「え、君が殺してくれるのかい?悪いねぇ、」
『張っ倒しますよ』
これぞシリアスクラッシャー。
一応、云っておくが此処は戦場であり、二人の周りには死体がごろっごろと転がっている。
何処まで云ってもこの人は頭に蛆でも沸いてるのじゃあないか、と思い、Aはため息を吐いた。いつもより三割増しで。
太宰はAのそんな様子をも面白がるように笑って、くしゃりとAの頭を撫でた。
「偶には、血生臭いこんな黒社会の世から離れて、街でも見て来れたら、と思ってね。
君、マフィアに来てから一度も街なんて行った事ないだろう?」
『……まぁ、行く必要なかったし。』
「うふふ、駄目だねぇA。君も一応立派な女の子なんだから、其処に必要性を感じなければ。」
『万年死ぬことばっか考えてるアンタは一体何なの?あと一応とかつけてる時点で、全然思ってませんよね』
「帰ります、」と付き合ってられないと云った風に頭を抱えるとひらり、とスカァトを翻して拠点へと歩みを進める。____した筈が。
「待ち給え。
ーーー君は立派なポートマフィアの一員だ。幹部である私の命令は、聞かなければならないのは、頭の良いAには理解出来ている筈だよ。」
その言葉に、Aは僅かに瞳を見開いた。いつもの気怠げな紅茶色の瞳は幾分か驚きに満ち溢れていて。
一瞬だったそれは、直ぐにいつものAへと戻り。静かな声で、返事を返した。
『____此処で、職権乱用ですか面倒臭い。』
「A」
『分かりましたよ、後で中原さんにチクリますから。』
拠点へと足を向けていたのをくるりと方向転換し、別方向へと進んで行く。
そんな彼女の背中を見ながら、太宰は小さな声で問いかけた。
「さて、今君の“自分の価値観”はどうなっている?」
視線は、左手に注がれていた。
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渦中の人との出会い 。→←気付いてしまったのは、不幸か幸いか 。
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y(プロフ) - まだ、見てます。こんなに端麗な日本語で綴られた物語を書ける方、中々いないです。最高の作品です。どうか、いつか続きが読めることを願っています (2月26日 19時) (レス) @page38 id: 02477a501f (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 何周も見てるけどやっぱ飽きないし面白いです!!更新待ってます!!!!!() (2022年11月15日 14時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
おみず - お、おわり……??続きがまた見たいです……この先でも活躍するんだろう夢主ちゃん見たいです……!!! (2022年11月10日 23時) (レス) @page38 id: 0c3a3b3097 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ニサナ - 更新待ってます!! (2022年3月14日 22時) (レス) @page38 id: 1c42f0d3fc (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、待ってめっちゃ好き。続き気になる…!更新待ってます、頑張ってください!! (2022年2月1日 17時) (レス) @page38 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪原 ゆずき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2016年8月4日 13時