夜道にはご注意を 。 ページ11
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口の中には未だ感じる甘ったるさ。
二回目の蜂蜜飴は、矢張り変わらず美味だった。
『もう他の菓子が霞むくらい美味しいよね、』
蜂蜜と云う存在は知っていたけれど、ただ甘いだけのものかと思ってきた。
やっぱり偏見はいけない。あの絶妙な甘さは他の食べ物では表現出来ない。
同じ甘さでも砂糖とは違う。よく味合わずに噛み砕いてしまったのが、今の唯一の後悔だ。
『(___それで、どうやって戻れば良いの、)』
恐らく日付を超えてしまっているだろう時間帯は、不気味な程に人通りはなく。
不幸にも太宰が連れてきた店は、狭い路地裏を通り抜けた先にあるもので、余計ややこしい。
所謂、迷子になってしまった。(現在進行形)
どれもこれも、全部あの糞男の所為だ。
顔を歪めさせながら、記憶に薄っすら残っている路地に足を踏み入れようとした時、
「ーーー貴様、ポートマフィアか。」
地を這うような低い声がAに投げかけられた。
溢れ出る殺気に、眉を寄せてゆっくりと振り返った。
___心底、面倒臭いと云った表情で。
「...その容姿、最近マフィアに入った異能力者だな。」
男は薄い襤褸を身に纏っていた。
数は一人だったが、短機関銃をAの胸元へと狙いを定めており、顔はよく見えなかったが異国の人間のように感じた。
深夜の横浜は、無法者が彷徨う地となる。
況してやこんな攫ってくださいと云わんばかりの路地裏に少女一人が佇んでいれば、自 殺願望者か、黒社会の異能力者以外に居ないだろう。
しかし、Aには一つ気にかかる事があった。
ーーー何故、私の存在を知っている?
Aがこなした任務はまだ少ない。それに、毎度毎度目撃者を一人残らず殺した筈だ。存在はまだしも、容姿までもがバレているのは不自然だし、マフィア内でもAの姿を直接見た人間は殆ど居ない。(見殺しにするから)
だとしたら、可能性は一つ。
Aが答えを出す前に、男が何も云わず銃を乱射し始めた。
ただ何も云わず、訓練された闘犬にように。
『...面倒臭い。』
ため息を吐くと、そのまま発射される銃弾に向けて左手を出す。
左手に触れた銃弾全ては、黒い塵となって空気中へと舞った。
男が驚いたように目を見開いたのが分かった。
『お願いだから、帰ってよおじさん。
私今とんでもなく疲れている挙句、苛々してるんだ。』
銃など無駄だと思わせるように、左手で男を指差しながら云った。
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y(プロフ) - まだ、見てます。こんなに端麗な日本語で綴られた物語を書ける方、中々いないです。最高の作品です。どうか、いつか続きが読めることを願っています (2月26日 19時) (レス) @page38 id: 02477a501f (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 何周も見てるけどやっぱ飽きないし面白いです!!更新待ってます!!!!!() (2022年11月15日 14時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
おみず - お、おわり……??続きがまた見たいです……この先でも活躍するんだろう夢主ちゃん見たいです……!!! (2022年11月10日 23時) (レス) @page38 id: 0c3a3b3097 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ニサナ - 更新待ってます!! (2022年3月14日 22時) (レス) @page38 id: 1c42f0d3fc (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、待ってめっちゃ好き。続き気になる…!更新待ってます、頑張ってください!! (2022年2月1日 17時) (レス) @page38 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪原 ゆずき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2016年8月4日 13時