▽mission182 ページ42
*
ガシャン、と手術中のランプが点く音が静かな廊下に響く。
救急車の中でコナンくんはぐっと唇を噛み締め、ぽつり、ぽつりと事件の詳細を語った。
連続狙撃事件第四の被害者を出さない為に橋の上から狙撃の妨害をしていたこと、狙われていたマーフィーさんになんとか危険を知らせようとしたこと、それを犯人に気付かれて狙撃されかけたところを庇われ、世良ちゃんが撃たれたこと。
憎しみ、後悔、無念、無力、そして負い目の滲むその声に私は自分の手のひらを握った。
ごめんね真純、姉さんがもっと強かったら真純に怪我なんかさせずに、コナンくんにこんな顔させずに済んだのに。
やっぱり私はこの世界で生きるには頭も能力も信念も足りない。
病院に着くとすぐ手術室に運び込まれた世良ちゃんを二人で黙って待っていると、目暮警部たちが現れた。
何かを伺うようにこちらを見上げたコナンくんの頭をぽんぽんと撫で、行っておいでと微笑む。
コナンくんは小さく頷いて彼らの方に歩いて行った。
それを見送って手術室前のベンチに腰掛け、どれほどの時間が経っただろうか。
手術室のランプが落ちた音に弾かれるように立ち上がれば間も無くストレッチャーに乗せられた真澄と数名の看護師さんが出てきた。
少し遅れて現れた医師が私に目を向けて口を開く。
「世良真純さんのご友人の方ですか？」
「ッは、はい、あの、真純の状態は？」
「手術は成功しまして、現在は容態も安定しています。命に別状はありません」
その言葉に安堵の息を吐く。
ああ、本当に良かった。
世良ちゃんの目が覚めたらコナンくんは無事だよって教えて、あと無茶なことはほどほどにしろって軽く説教かな。
本当に、この世界には無茶な人が多いのだ。
紙面やテレビの向こうにいた時はそれこそが彼らの魅力であったが、いざ少し近しくなってみればこれほど心臓に悪いこともない。
コナンくんだってしょっちゅう死にかけてるし。
それでも、
「助かって本当に良かった」
彼らは真実を追う権利と義務を負っているのだ。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5376人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moo(プロフ) - 控えめに言っても言わなくても滅茶苦茶面白いです！ (2021年7月13日 16時) (
レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
221B - 面白いです続編読みたい…いつか更新してくだされ…！ (2021年6月14日 21時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - 面白すぎて夜中に一気読みしちゃいました笑続き首を長くして待っております！ (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 面白すぎてはまったw(。^。^。)最高 (2021年5月17日 19時) (レス) id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 何度読んでも面白いです！更新待ってます！！ (2021年4月27日 2時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斗
| 作成日時：2019年6月7日 14時
