空に光る星 2

イエス ページ24

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　ホテルの事は、どうにかなるにしても、東京に行くことだけは羽生君に報告しなくてはいけない。

　スケートで忙しい羽生君の負担になるかもしれないと思うと電話する事も気が重い。


「もしもし…羽生君？」

「A、元気〜？――――――――ん？なにかあったの？声に元気無いよ？」

「―――うん…実は―――」

　羽生君にエイ子の提案した計画を話した。

　断られる―――

　きっと無理だって…

　羽生君の反応がコワイ―――

「マジで！？すっごい嬉しい！それっていつ？来月？」

　予想に反して羽生君の答えはイエスだった。

「エイ子さんの彼氏も来るんだ！？そしたら、４人でご飯、行こうよ！ボクのお勧めの店、予約しとくから！ん〜〜〜楽しみだなぁ…」

　断られどころか、楽しみだって喜んでる…

「練習の邪魔にならない？」

「なるわけないだろ？なに気、使ってんの？」

「だって…」

「Aの笑顔はボクのパワーになるんだ。邪魔どころか大歓迎だよ。」

「ありがとう…」

　羽生君は優しい…

　ホントはエイ子が卒業旅行の行き先を東京に決めてくれて跳び上がるくらい嬉しかった。

　でもオリンピックに行くという夢を追いかけてる羽生君の邪魔だけはしたくない。

　羽生君の夢は、私の夢でもあるのだ。

『逢いたい』と、『重荷になりたくない』の気持ちの板挟みで身動きできなくなっていた私をいとも簡単に救いあげてくれた羽生君の言葉。

　ありがとう。

　きっと、一生の思い出になる卒業旅行にするよ。

　逢えるのを楽しみにしてるからね…





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