第四十訓 ページ40
勿論、勝負が一瞬で決着になるとか、そんな事は全くなく。
「…っ、こんの馬鹿力…！」
「失礼ね、あんたも同じようなものでしょ！」
女はそこで間合いをとる。
同じような打ち合いをなんども、何度も。
苛立ったようにAは一度刀を握りしめた。
「なんで本気を出さないの！」
女はそれを鼻で笑うと目を細めて答える。
「…、本気なんて出さなくても…所詮、人間と同じ力でも。あんたには勝てると確信したからよ！」
ぎり、とAは歯ぎしりをする。
「…調子に乗んなよクソババァ」
途端、Aの気迫に女は一瞬眉間に皺を寄せた。
「……私は」
「！？」
一瞬、何が起こったのか。
女は思わず後ずさりする。
ほんの鼻先、1cm先のそこに向けられたのは刃。
「…私は、負けるわけにはいかないから」
見下すようにこちらを睨みつける己の子に畏怖、などとは言えないが…事実、そのまま。
女の身体は、硬直する。
「…ははっ！あんたも本気じゃなかったってわけね！」
それでも身体を動かすと1,2,と数歩下がった。
「神様になった実力…見せてよ母様。…私は神なんてものに負けない。人間の、意地で君に勝つ！」
「人間なんて何も守れないわ！自分自身さえ…！儚くて脆いっ、だから私は捨てたの！あんな男に、負けないように！」
女は手に持っていた賽子を振るう。
天高くそれを投げると。
ーーーズシャァッ
「…賽子、それは運命。私は出雲守輪廻…十二支神よ」
現れたのは。
「でか、…蛇…」
自分の2倍はあるだろう蛇。
それが、こちらを向いて敵意を丸出しにして。
ーーーヒュンッ
「！？」
ーーーシャアアアアアッ！
「主！」
遠巻きに岩融と戦闘していた刀剣たちも何事かとこちらを振り向く。
岩融も驚いたようにしていた、のは誰も知らないが。
「っ、らぁああ！」
Aは向かってきた蛇の目玉目掛けて小太刀を振るう。
牽制のつもりでもあったが、構わずに蛇はAの持つ小太刀へと飛び込んだ。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
