第二七訓 ページ27
「主ー、ごはんだよー。ほら、起きて」
「あと五分まって光忠…」
「はい寝ないー」
ぐいーっと布団を引かれ、Aは小さくうずくまった。
「うう、少しくらいいいじゃ…あれ？なんで光忠？」
「今さらすぎるでしょ…」
「いつも私の事おこしにくるの清光だもん。光忠みたいに無理やり布団もはぎません！」
「はいはい。僕は加州くんほど優しくないです。あ、そうそう今日は主にいろいろやってもらわなきゃなんだよ。みんな、いないから」
「…え？」
Aはきょとん、とする。
光忠はAの寝癖に笑いを堪えつつ、その疑問に答えた。
「ああ、なんだったかな…新しくこの本丸にお邪魔してる僕らは残ってるけど、前からいる刀剣たち、ほとんどがちょっと遠征に行ってくるとかいってたかな。…あれ、主の指示じゃないの？」
「そんなの知らな…え、なんで？遠征組にも指示出してないし、ましてや一軍を遠征に出すなんてするはず…え？なんで？」
「いや、僕に聞かれても」
「まぁいっか。そのうち帰ってくるでしょ。ごはん食べいこ！光忠のごはんおいしいんだよねぇ」
「調子いいなぁ…あ、ちょっと、食べ行く前に顔洗うんだよー！」
はーい、と返事をして駆けて行ったAの姿を横目に光忠は口元を歪める。
「あれは遠征に行くというか…獲物を狩りに行く獣のようだったなぁ」
それはほんの、数刻前の話である。
「おや、そんなに大勢でどこにいくんだい？」
朝早く、朝食を作るために早起きした光忠は、ばったりとその大群と出会う。
三日月、小狐。
陸奥守、今剣。
清光、安定。
太郎、次郎。
山姥切、鶴丸。
今剣以外の短刀、それと短刀の身の内はいなかったが、皆、この本丸に元からいた彼らだ。
「…遠征、だ」
「十人って、流石にそんな組まれ方してないよね？」
「ちょっとだっけねん。まぁ、もし詳しいこと聞きたかったら、左文字ちゃん達か前からいる方の粟田口の子に聞いてちょうだい。あたしたち、急いでるの」
「…ふぅん？いってらっしゃい」
「おう、いってくるぜよ」
その顔は笑顔。ただ、爽やかな、いい笑顔とは程遠い。
「…悪魔みたいな」
笑顔。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
