第二一訓 ページ21
それから。
三日月に対する態度は、それぞれだった。
「じいさん、主から離れてよ」
「それは無理だな」
「このっ…！」
「ちょっと、喧嘩しないでよ。…清光、大丈夫だから。三日月は何もしてないでしょ？」
「…主はほんとに甘い。足許掬われても知らないから！」
「あ、ちょっと清光どこに、」
「A。放っておくといい。…どうせすぐに帰ってくる」
三日月はAの背中に背を合わせ、くつろいでいる。
Aが清光に向けた手は、三日月の言葉を合図にただ宙を切った。
「…三日月」
「俺は主が俺のものだという事を皆に証明してやりたいだけよ」
「…あっそ」
Aは呆れたようにしながらも、突き放す事はせず、ただただ彼と共にいた。
「ぬしさま、任務を終えた事お伝えに参りましたぞ」
「ああ、おかえり。どうだった？」
「新参者とはいえ、彼らもやりおりますな」
戸を叩く事もせず思い切り襖を開いた小狐は、Aの前へと向かい、撫でて撫でて、と頭を下げる。
三日月は、ただ後ろ目にそれを見ていた。
「光忠と大倶利伽羅…乱と厚と平野と前田と秋田に…骨喰と鯰尾だっけ？」
「愛染と蛍丸…それに鳴狐もですぞ」
「この短期間でかなり大家族になったなぁ…あれだけ嫌がってた清光とかも鍛刀手伝ってくれたし…どういう心境なんだろ」
「…さぁ？」
小狐はそういいながらもおかしそうに口元を歪める。
「…あと五分もすれば燭台切が夕飯にと呼びに来るでしょう。私は資源をまとめてこなければなりませんのでしばらく一人…いや、そやつと二人きりになってしまいますが、どうかお気をつけて」
「はは、信用されとらんな。…小狐、あまりじじいを怒らせるなよ」
「…失礼」
ﾋﾟｼｬﾝｯ
襖は閉められた。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
