第十四訓 ページ14
「おかえりー、あ、資材持ってきてくれたんだ」
「うん、次郎ちゃんが見つけたんだよん！」
「ありがとう！本当に助かるよ」
Aが審神者となってから早二月が経った。
「たっだいまー！主、今日も無傷で帰って来れたよ！ね、可愛いままでしょう？」
「うん、清光はいつも可愛いよ」
「…嬉しくありませんが、誉は私でした」
「そっか。江雪、戦嫌いなのに出しちゃってごめん。でも、ありがとうね」
帰ってきた刀剣たちを門の前で待っていたAに、それぞれ彼らはそう声をかけていく。
「おかえり、むつ…」
「た、たたただいま帰ったぜよ！」
「陸奥守？どうしてそんな、焦ったような…」
ふと、視線をずらす。
隊員は確か六名のはず。
今見送ったのも、丁度六名。
ならばその、あと、一人は…
「はじめまして、あるじさま！今剣ともうします！すてられ、くちていくままとおもっていたところ、ひろっていただきまして！」
「はぁ…まぁ、部屋はいくらでもあるし行くとこないならいいけど…陸奥守、この子」
「あー…正直、驚く程強かったぜよ。戦場で生き延びるっちゅう事はそういうことじゃ」
そそくさと陸奥守は本丸へと戻ろうとする。
一方で今剣はにこにこと笑い、こちらをみていた。
と、陸奥守と入れ違うように後ろの扉が空いた。
「なんだ、騒がしいな」
「あ、三日月」
外へ出てきた三日月は今剣を見て驚いたようにする。
そしてAに覆いかぶさるようにすると、笑った。
「おや、今剣ではないか」
「あっ、三日月じいさん！」
「いやいや、猫かぶりはよせ。お前も十分じじいだろう」
「やだなぁ、みためはゆうこうてきにつかわないと！」
三日月の言葉にAは驚愕する。と、同時に話についていけずAは気付いたら三日月に抱きしめられたまま硬直していた。
「さんじょーのみんなはいないのですかー？小狐丸とか石切丸とかぁ…
岩融、とか」
「！」
Aの顔が一気に曇る。
三日月も、今剣も、驚いたように身を固めた。
「…どうかしたか、主」
三日月はパッとAから離れ、心配そうに首をかしげる。
「……、いえ、なにも」
Aは小さくため息をつくと、二人に背を向けた。
「早く部屋に行きましょう。身体が冷えるよ」
「あるじさ、」
「…来ないなら、先行くね」
––––––ぱたん、
扉が閉まった。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
