柱の少女は、狙われ体質。弐

漆拾陸 ページ29

鬼舞辻無惨が私の部屋へ来た。彼の顔を見るのは一週間振りくらいか？

恐らく私に構うのに飽きてきていたのだろう。





そろそろ私も殺されるか鬼にされてもおかしくない。だからといって前世の夢を少し見ただなんてことは言えない。

鬼舞辻が私を絶対に手放さなくなるからだ。そうすれば警備も固くなる。









鬼舞辻「麗、なにか思い出したのか？」





『なーんにも？むしろ鬼殺隊の皆が恋しくなってきたよ。』

私はふざけて笑った。







すると鬼舞辻はいつものように、表情も変えずに去っていった。

だけど、私は彼が踵を返した時の気配の変化に気がついてしまった。









なんでそんな哀しい気配をしているの。


罪のない人を殺した最低の悪鬼のくせに。


なんでその哀しい気配を隠して、冷血無慈悲を貫くの…………？









やめてよ。





今さら同情なんて誘っても、無駄なのに。

もう許すことは出来ないのに。

私は麗じゃないのに。









私はこの檻から抜け出すのだから。

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