告白3秒前〈ksk〉 ページ9
※学パロ※
「こーすけ、お待たせ!」
教室の扉が開く音と同時に聞こえる、聞き慣れた声。声の方に顔を向けると、俺の好きな人がそこに立っていた。
「おー、委員会終わった?」
読んでいた漫画を閉じ、鞄に突っ込む。クシャ、と聞こえたがそのまま鞄を閉じた。
「終わったからここにいるんでしょ」
そう言って笑う彼女を見つめる。他の女子みたいに口を手で覆わずに、ありのままの笑顔を見せてくれる。片方にだけ出来るえくぼ。笑ったときに見せる白い歯。その全てが愛しい。
帰ろっか、と鞄を手に取ると彼女は頷いた。
校門を出て、Aと肩を並べて歩く。いつもは時間があるから寄り道をするけど、今日はAの委員会があったから、そんな時間はない。
「今日は寄り道できねーな」
そう言って笑うと、彼女はごめん、と言った。別に謝ってほしかった訳ではないから、焦ってしまう。気にすんな、と言ってAの頭に手を乗せた。
Aとは毎日こうして一緒に帰っている。約束なんてしていない。これが当たり前なのだ。といっても、別に話すことがある訳でもない。Aとは、別に話さなくても心地好いのだ。
Aの髪が風に揺れて、彼女のシャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
「ねね、こーすけ」
不意にAが俺の制服の裾を引っ張って俺の名前を呼ぶ。
「ん?」
短く返事をして振り向くと、頬を赤く染めて俺を見ているAの姿があった。あまり見ることのない表情に、ドキ、と胸が鳴る。彼女の大きな瞳に映る俺も真っ赤な顔をしていた。
お互い口を開かないまま、見つめ合う時間だけが過ぎる。
恥ずかしくなって顔を背けると、Aが口を開いた。
「あのね、私、好きな人がいるの。」
胸が張り裂けるような痛みに襲われる。ズタズタになりそうで。この場から逃げろと、脳が警告していた。
「そっ、か。へー、意外、だなぁ」
ショックを隠そうと、なるべく平静を装って返事をする。きっとこれから、俺の心は引き裂かれる。そして、言ってしまうだ。『応援するよ』と。
「優しいの、その人。」
優しい、か。知りもしないソイツのことをイメージしながら話を聞く。
「いつも一緒に帰ってるんだけどね。フフ」
「え」
その言葉に顔を上げると、Aはこちらを見て微笑んでいた。あと何メートルか歩けば、もう彼女の家に着いてしまう。
さっきの、俺ってことで良いですか。両想いってことで良いですか。
────告白、するよ?
〈告白3秒前〉こーすけ
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ふらわぁ(プロフ) - エティシアさん» ありがとうございます!読んでくださるだけですごく嬉しいです。元はといえば話を思い付かない私が悪いので・・・・・・更新は遅いですが、楽しみにして頂けると嬉しいです!!エティシアさんのコメントで頑張れます! (2020年3月16日 11時) (レス) id: bd0b8806a1 (このIDを非表示/違反報告)
エティシア(プロフ) - 1話で終われるようなリクエストが思いつかなかったので書けませんでしたが、いつも小説楽しみにしています。何もお手伝い出来ませんがこれからも頑張ってください! (2020年3月15日 1時) (レス) id: 910526fed8 (このIDを非表示/違反報告)
ねむりねこ(プロフ) - コメ返ありがとうございます!!楽しみにしています! (2019年11月7日 20時) (レス) id: b1690d9a63 (このIDを非表示/違反報告)
Tiger Flower(プロフ) - ねむりねこさん» コメントありがとうございます!嬉しい、めっちゃ嬉しいです!!一応言っておきますが、ふらわぁとTigerFlowerは同一人物です笑これからも見ていただけたら嬉しいです! (2019年11月7日 20時) (レス) id: e40e961212 (このIDを非表示/違反報告)
ねむりねこ(プロフ) - 初めてまして!どれもこれも素敵過ぎますっ!応援してます!更新頑張って下さいね!!!! (2019年11月7日 20時) (レス) id: b1690d9a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふらわぁ x他1人 | 作成日時:2019年9月20日 22時