ひまわりの思い出〈hr〉 ページ8
「ごめんね、遅れて」
そう言ってこちらに走って来る彼女に微笑みかける。いつもより整えられた髪も、今までに見たことのない新しいであろう服も、俺のためだと考えても良いだろうか?
彼女は俺の前に立つと、俺の大好きな笑顔を見せてくれる。こうやって2人で会うのは久しぶりだ。すごく嬉しくて、幸せな感じがする。Aも前言ってたっけ。「何気ないときが一番幸せ」って。
「前はいつだっけ、会ったの?」
そう聞いてくる彼女に俺は首を傾げる。目の前には首を傾げるA。
きっと周りの人から見れば俺らは同じポーズだ。そう思うと笑いが込み上げてくる。そんな俺に向かって彼女はあっと声をあげる。
「今日ね、花買ってきたの」
さっきの話題はもうどうでも良くなったのだろう。Aは俺の目の前に一輪の花を差し出す。立派なひまわりだ。言葉を失う俺に彼女は続ける。
「綺麗でしょ」
そう言って胸を張る彼女。ひまわりに劣らず可愛くて、クスリと笑ってしまう。
「覚えてる?」
静かに笑った俺に気付かないで、彼女は俺に問い掛ける。何のことか分からないし、とりあえず黙っておく。すると彼女は笑って、
「覚えてるよね、ヒラは私のこと大好きだもん。」
そう言った。
確かにその通りだけど、Aとの思い出なんてありすぎてどれを言っているのか分からない。水族館で君が転んだこと?編集中の俺に甘えてきたこと?
思い返すと楽しいことばかりで、あれもこれもと思い出の引き出しを手当たり次第に開けてしまう。ああ、そんなことをしたら、次の瞬間には俺の頭はAとのことで散らかってしまうというのに。
頭の中を整理していると、彼女は話し出す。
「あーでも、ヒラのことだから『ありすぎて分かんないよ』って笑うのかな」
そうそう。俺が頷くと、彼女は教えてくれる。
「去年の夏、二人でひまわり、植えた、の・・・・・・」
さっきまで明るかったAの顔に影が落ちる。空を見上げても雲はどこにもなくて、どこまでも綺麗な青空だった。雲でなければ、何が彼女に影を落とすというのだろう。
そう思っていると、彼女は俺をジッと見つめてくる。
「何で、何で居なくなったの?好きって、言ったじゃん!ひまわりも、枯れちゃったし・・・・・・おいてかないでよ」
そっか、俺、車に轢かれて・・・・・・
目の前で泣きじゃくる彼女を抱きしめることも、ひまわりに触れることも叶わないまま、彼女の泣き声が辺りに響く。
〈ひまわりの思い出〉ヒラ
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ふらわぁ(プロフ) - エティシアさん» ありがとうございます!読んでくださるだけですごく嬉しいです。元はといえば話を思い付かない私が悪いので・・・・・・更新は遅いですが、楽しみにして頂けると嬉しいです!!エティシアさんのコメントで頑張れます! (2020年3月16日 11時) (レス) id: bd0b8806a1 (このIDを非表示/違反報告)
エティシア(プロフ) - 1話で終われるようなリクエストが思いつかなかったので書けませんでしたが、いつも小説楽しみにしています。何もお手伝い出来ませんがこれからも頑張ってください! (2020年3月15日 1時) (レス) id: 910526fed8 (このIDを非表示/違反報告)
ねむりねこ(プロフ) - コメ返ありがとうございます!!楽しみにしています! (2019年11月7日 20時) (レス) id: b1690d9a63 (このIDを非表示/違反報告)
Tiger Flower(プロフ) - ねむりねこさん» コメントありがとうございます!嬉しい、めっちゃ嬉しいです!!一応言っておきますが、ふらわぁとTigerFlowerは同一人物です笑これからも見ていただけたら嬉しいです! (2019年11月7日 20時) (レス) id: e40e961212 (このIDを非表示/違反報告)
ねむりねこ(プロフ) - 初めてまして!どれもこれも素敵過ぎますっ!応援してます!更新頑張って下さいね!!!! (2019年11月7日 20時) (レス) id: b1690d9a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふらわぁ x他1人 | 作成日時:2019年9月20日 22時