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『離してくださいっ、』
待ち合わせ場所に遅刻。理由は寝坊。
昨晩はあんまり眠れなかったからか、ふぁぁ、と欠伸をしながら彼女を探した。
TH「…おいおい、」
聞き覚えのある声だと道理で思ったけどさ。
TH「オニーサン何してんの?
その子、俺のなんだけど。」
…いつもは普通のメイクだから気にならなかった。雰囲気がガラリと変わっていて知らない人みたいだった。
…悪くはないね。ただ、タイプとまでは行かないけどね。
『あ、ありがとうございます…、』
TH「…いつから待ってたの。」
『さ、さっきです。』
TH「…ふぅん。こんな冷たい手で?」
覗き込みながら問い掛けると、迷ったりしたら困るから、と30分前には来ていたらしい。
馬鹿だ、今は真冬だというのに。
そういう点は抜けていると思う。
自分のことに対して無頓着というか。
とりあえず暖の確保のために彼女の手を取る。
『あ、あの…手、』
TH「何、嫌なら離すけど。」
『……そ、そのままでお願いします…。』
風が吹いて鼻を掠めたのはいつもの彼女の香り。どこかで知ったかのような匂い。
妙に安心させるのは何故か。
記憶の底を探ろうとしたけれどやめにした。
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作者名:鯢 | 作者ホームページ:https://twitter.com/3_sho_u0
作成日時:2021年11月1日 14時