きみの弱いところ。【完】 (ページ21)

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■ ページ21

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運命の人、とヒョンは表現した。
耳を疑った。俺は昨日全く同じ言葉をヌナから聞いたから。

『優しさを彼はくれたの。
ずっと忘れられなかった。
大学で見かけた時は運命だって思った。』

"「あのさぁ。」"

"『は、はい…。』"

"「なんで濡れてんの。
雨降ってないでしょ？」"

"「…………。」"

ヌナが女子の間で上手く行っていなかった時。要はシカトされていた時。

漫画の中のワンシーンみたいに、水をかけられたらしい。俺がきっちり後でお返しさせてもらったが。

ピアスがたくさん開いていて、怖そうな金髪の男子生徒が聞いてきた。どうして濡れているのか、替えの服は、と。声をかけたのは制服を着ていたキムテヒョンだった。

"「…俺の替えの服使えば。」"

"『で、でも、』"

"「またテキトーに返してよ。
どーせこの辺りに住んでるんでしょ？
俺すぐそこだし。」"

"『いや、でも、』"

"「風邪引いたら困るでしょ？」"

ずっと感謝していたそうだ。
自分を気に掛けてくれたのが嬉しかったと、そう言っていた。

結局探しても見つからなくて、近くに住んでいるというのは嘘だったらしい。その頃からあまり素行が良くない少年として噂になっていたから、俺はヌナと居ると知って驚いた。

不良と交際しているなんて、と。
不良のくせに、どうして人助けするのか分からなかった。

良い奴なのかそうでないのか。
目の前のヒョンは前者でもあり、後者でもあると言った。