雨上がりに、路地裏にて。 (ページ1)

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ーPrologueーページ1

*

“雨なんて嫌いだから。”

そう、今まで何度言ってきたことか。
最初こそ、同情してくれた友達も、
今では呆れているくらいの雨嫌い。

「傘、忘れちゃったじゃん……」

家を焦って出てしまい、
傘を取り忘れていたことを思い出した。
びしょ濡れになる予感しかしない。

「あぁ……かなり激しくなっちゃったな。」

両親に迎えに来てもらうということも考えたが、
迷惑をかけてしまうからやめておく。

「仕方ない。走ろう。」

重い鞄を背負って、走り出す。
雨。雨。雨。
“ざーざー”降っていく雨は、大嫌い。

暫く走った。
疲れてしまい、雨宿りをすることにした。
いつになったら止むだろう。
考えても無駄なことだって、分かってるのに。

「最近は降らなかったんだけどなぁ。」

天気を恨んでも、どうしようも無いのに。
仕方がないことなのに。
もう、過去には戻れないのに。

天気を恨んでしまう私なんて＿＿

通り雨であったようだ。
空はすっかり晴れていて、虹が広がっていた。
丁寧にアイロンがかけられていた、
お気に入りのワンピ。

いつの間にか、びしょ濡れになっていた。

*