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十八 ページ19

夜だと言うのに、蝉はあいも変わらずうるさいし、暑さだって変わりやしない。


石川を待つジャージ姿の私は、公園のベンチに座っている。


「あ、谷沢」


「来たか」


なんと言って迎えればいいのかわからず、武士のようになってしまった。


「俺が特別講師とか……。由奈ちゃんは何考えてるんや?」


石川は由奈のことを由奈ちゃん、と呼ぶ。若干、いやかなり気持ち悪い。


「私に聞かんといてくれ。まあ石川、足は速いしな。それしか取り柄ないやろあんた」


いつもなら取っ組み合いの喧嘩が始まるような私の煽りにも、今日は石川は乗らなかった。


「とりあえずアップするんやろ」


そう声をかけられて、アップを開始する。

軽くジョギングして、体操、ストレッチ。いつもと同じだ。


「とりあえず、一本走ってみてや」


ざっと見るに、八十メートル。

クラウチングの姿勢をとり、腰を上げスタートする。


前半は前傾姿勢を維持して、スピードに乗る。スピードに乗れば徐々に上体を上げていき、中盤から後半は腰を上げて走る。


「ほんま速いなあ」


石川はそう言ってくれるけど、私の走りはこんなものではない。こんなものではないと、石川も思っていると思う。


いつも走るときに意識していることが上手くできない。どこかで体が硬くなっているのだ。体をほぐそうとアップを入念にしても、気持ちとは裏腹に体はますます硬くなる。


「まだ……上手いこと走れてへんねん。私はまだ走れる。速くタイムを出さへんとあかんねん……! 部長として結果を出さへんと示しがつかんし、私が、私が走らへんとあかんねん!」


石川はひとつため息をついて、持っていた水を私にかけた。


「お前、一回落ち着け」

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作者名:はなつー | 作者ホームページ:プロ野球  
作成日時:2018年8月15日 15時

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