購買にて〜俺の昼食〜 ページ7
俺は今から戦場へと向かう。
普段ならおかんの作るお弁当なんやけど、今日は作れなかったから学食で食べてねと言われた。
しかし、昼休憩に用があると担任に呼ばれてしまった。
混雑している学食では間に合わないかもしれないと購買へやってきた。
のはええんやけど、
腹の減っている学生は自分のことしか考えないのか?と思うほど、混雑していた。
「これやったら購買も学食も変わらへんやん」
嫌やな、こん中に入るの。
『呼ばれて飛び出て!「どけ」
何かおったな。気のせいやけど。
『ご機嫌麗しゅう先輩。お困りですか?』
「さっきのなかったことにすんな」
『何となく事情は分かりました。私にお任せください!』
そう言って、山田は人の荒波に入っていった。やば。もう見えへんくなった。
あいつほんま神出鬼没やな。
ほんま分かっとんのか?
しばらくすると、ゼェゼェと肩で息をしながら戻ってきた。
『ぜ、ぜんばい…戻って、参り、はぁ…ました。こ、これ』
差し出してきたのは焼きそばパン一つ。
「………」
『お気に召しませんでした?ま、まさか、先輩は焼きそばパンじゃなくコロッケパンをご所望!?私、一生の不覚!』
「ちゃうわ。お前の分ないやん。ここにおったってことはお前も買いに来たんやろ?」
1年のフロアから購買は距離がある。
わざわざここにいるということは、購買に用があるくらいしかない。
そう言うと、山田は『は!!』と今気づいたと顔を青くさせた。
ちなみに購買のパンは、食欲旺盛な高校生達が一気に買っていくため、もう残ってはないだろう。
「アホやな」
『うぅ…いいんです。私の買ったパンが淳太先輩の血となり肉となるのであれば一食抜いたって』
「今日のお前は何キャラやねん。…ええわ。これお前食え」
貰った焼きそばパンを、突き返す。
俺が買いに行かせたせいで買えへんかったって思われたら嫌やし。腹鳴っとるし、俺だけ食べるのもなんか悪いし、ショック受けてる顔ヤバイし腹鳴っとるし。
『いいんですか!?』
「俺は担任に呼ばれてとるからええねん。やから、そんなブッサイクな顔して腹鳴らすな」
俺がこう言うと、目をキラっとさせて大事そうにパンを持つ。
なんや、しおらしいところもあるんやな。
『ありがとうございます!家宝にします!』
「食えや」
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作者名:はなこ | 作成日時:2019年5月14日 20時