反対方向の帰り道 ページ23
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仕事終わりにお姉ちゃんに会った。子ども達をお母さんに預けて二人で会うのは久しぶり。
旦那さんと別れて、子ども二人と暮らしているお姉ちゃんは何よりも子どものことを大事にしているけど、私のことも気に掛けてくれる。
「最近どう?体調とか崩してない?」
『元気だよー。強いて言うなら最近やたら眠いくらいかな』
「ちゃんと寝てる?あ、新婚だから梅原くんが寝かせてくんないか」
『いやいやなんつーこと言ってんだ』
お姉ちゃん、言うことが過激だよ。
『あ、あと最近たまに気持ち悪くなるんだよね。吐き気』
「吐き気…眠気…」
『仕事中は大丈夫なんだけど、家に帰るとね』
「A、それさ」
足を組みかえて、テーブルに肘をついて私をじっと見てきたお姉ちゃん。何を言い出すんだろう。
『お姉ちゃん?』
「A、妊娠してない?」
『え?妊娠…?』
「いや、わかんないけど。私の時と同じだったなって」
『そうなんだ。お姉ちゃんも』
妊娠に心当たりはある。夫婦なんだし、そういうこともする。思い当たる節が多すぎる。
「1回検査してみてね、もう結婚してるんだし、おかしくないんだから」
『うん…ありがとう』
「じゃあそろそろ迎えに行ってくる。気をつけて帰るんだよ〜」
カフェを出て、反対方向を歩く。真っ直ぐ家に帰らず、薬局に寄った。ドキドキしながら検査薬を買った。
帰宅するとまだ裕一郎はいないみたいで、今のうちだ!と箱に書いてある説明を読んで実行に移した。
『陽性だ…』
そこにはハッキリと妊娠していることを示すものが浮かんでいた。
ドキドキする。自分のお腹に赤ちゃんがいるなんて。
とりあえず片付けて裕一郎が帰ってくるのを待った。その間に寝てたみたいで、目が覚めたらソファーの足元に裕一郎が座っていた。
「あ、起きた?」
『うん…おはよう、おかえり』
「ただいま」
『あのね、』
「ん?」
言い出そうと思ったけど言葉が上手く出てこない。
こういうときなんて言えばいいんだ。必死に頭を巡らせて出した言葉。
『あの、は、吐きそう…』
「は!?」
『ごめん!』
「え、ちょっと?は?」
猛ダッシュしてトイレに駆け込んだ。胃に何も無くて吐くのが辛い。半泣きになりながら口をゆすいでリビングに戻った。
『あの、妊娠しました…』
「嬉しいけど心配だよ…ありがとう」
そう言ってくれて、ベッドに連れてってくれた。
後日一緒に病院へ行って診てもらったら三ヶ月の終わりごろだということが分かった。
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p@n@(プロフ) - のぞみさん» コメントありがとうございます。このお話に関しては、続きは作っておりません…今書いてるものが完結したら、似たようなお話にはなってしまうかもしれませんが、梅原さんとのお話を書く予定です!コメントして頂いたのに申し訳ございません。 (2021年5月29日 10時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 面白いです。続きはないんですか? (2021年5月29日 8時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
chimo(プロフ) - 永遠に幸あれ完結お疲れ様でした!とてもほっこりして素敵な作品でした!次回作西山さんということで楽しみにしておりました!引き続き愛読させて頂きます! (2021年1月31日 16時) (レス) id: f2165dc798 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - めちゃくちゃドッキドキやな…って感じです。ありがとうございます…… (2021年1月25日 23時) (レス) id: e5cbfbc5c1 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - さきさん» コメント、リクエストありがとうございました!!書いていてとてもドキドキしました……これからもよろしくお願い致します! (2021年1月25日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2021年1月9日 0時