101. ページ30
向井「…こんな時に言うの、ずるいと思うねんけどさ」
さっきまでと違って蜂蜜色の瞳がゆらゆらとが揺れた。
向井「てか、もう気づいてるかもしれへんけど。
俺Aちゃんの事好きやねん」
胸がドキンと鳴る。
向けられていた好意に気づいていないと言えば嘘になる。優しくて、笑顔をくれて、周りを幸せにする人。
向井「でもな、俺求めてへんねん答えは。
…ずるいやろ？Aちゃん困らせるの分かってて」
『…向井、君』
まだ出会って時間は経っていないけど
甘えていたんだと思う、優しい彼に。
向井「好きやから、聞く前に2人の気持ち気づいちゃったんやろうな。悔しいけど敵わへんわ」
…2人の気持ち？
私の表情を見て、ふふと笑う。
向井「ちゃんとめめと話しや。沙耶ちゃんとの事は俺も分からへん。でも、我慢して言いたいこと言わんのは今は違うで」
今まで我慢して何も言えなかったのは、傷つくのが怖かったから。相手を思ってる様で、それは結局自分を守るためだったのかもしれない。
すっかり乾いた涙を、もう一度拭う。
『ありがとう、向井君。…嬉しかった』
こんな私を好きになってくれて、ありがとう。
背中を押してくれて、ありがとう。
向井「ん、良い笑顔。やっぱりAちゃんは笑った方がずっと可愛いで」
ほなら、駅まで送るわ！と立ち上がった向井君。
そういえば足大丈夫？と私より痛そうな顔で心配するから、コロコロ変わる表情につい笑ってしまった。
駅に着いて、向井君と向き合う。
するとポケットからスマホを取り出した。
向井「んーっと…あ、あったこれや。Aちゃん今送った」
『え？何を？』
ええから、早く開いてと急かされ私もスマホを取り出すと向井君とのトーク画面に送られてきた地図のURL。
開いて見るとどこかのBARの様だった。
はてなマークを浮かべながら向井君を見ると、
向井「そこ、めめんちの近所の店やねん。仕事終わりとかいっつも一人で呑んでるみたいやから」
『えっと…』
向井「さすがに家は個人情報やからね。笑
まぁ、今おるかは分からへんけど」
ほな、俺はここで。またご飯行こな！と手を上げて普段私も使う地下鉄の乗り場の方へと歩いていった。
『…ありがとう』
またその背中に小さくお礼を言うと、聞こえたのか振り返ってくれたから私も手を振った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mamemiya(プロフ) - minさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけるのが一番幸せです。番外編もお楽しみくださいませ。 (2022年10月25日 20時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます！アフターストーリーも試行錯誤しながらですが楽しんでいただける様頑張ります_φ(･_･✨ (2022年10月25日 20時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - sakiさん» 引き続き番外編を展開予定ですので引き続きお楽しみくださいませ。いつもコメントありがとうございますm(_ _)m✨ (2022年10月25日 20時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
min(プロフ) - 完結おめでとうございます。毎日更新がないかワクワクしていたと同時にもうすぐ終わってしまうのではないかという寂しさもありました。2人のAfter story楽しみにしています😆 (2022年10月24日 12時) (レス) @page36 id: 56b5a4720c (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 完結おめでとうございます！康二くんも沙耶ちゃんも幸せになってほしい！ふっかさんこれから絡むのでしょうか？番外編楽しみです🥹 (2022年10月24日 7時) (レス) id: 760b825a9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mamemiya
| 作成日時：2022年10月9日 19時
