85. ページ14
仕事終わり、久々にいつもの喫茶店に寄った。
「Aちゃん久々だね。仕事終わり？」
『はい。早めに終わったんで来ちゃいました』
ここはお昼はランチ、夜はちょっとしたバーになっててマスターと奥さんが交代でやってるんだけど今日はマスターが夜の当番らしい。
マスターの顔を見ると何だかホッとする。
マ「はい、どうぞ」
頼んだカクテルが目の前に置かれる。
綺麗な色味に魅せられてしばらくグラスを見つめながらぼーっとしてしまった。
マ「…何かあったのかい？」
『…え？』
マ「悩んでる顔してたから。んーそうだな…何か思い焦がれる様な、そんな顔かな」
ごめんごめん、ゆっくりしに来てるのに口出ししてと優しく笑うマスター。
『…マスターには何でもお見通しですね』
ふふ、と笑い返すと洗ったグラスをタオルで拭きながら優しく微笑まれる。
『好き…だった人とこの前何年かぶりに再会したんです。色々あって、もしまた会えた時は絶対聞きたかったこと聞いてやる！って思ってたんですけど。…なかなかうまくいかないですね』
やっぱり時間が経ち過ぎちゃったんですかね、と笑うと何か考えた表情をした後口を開いたマスター。
マ「大事な人ほど言いたいこと言えなかったりするよね。でもそうやって悩むのは悪い事じゃないよ。それだけ相手の事想ってるって事だから」
拭いたグラスをコトン、と置いて両手をカウンターに乗せた。
マ「きっとAちゃんなら大丈夫。変に焦らないで、自分を否定しないでね。何事にも今だっていうタイミングがあるはずだからそれを信じて」
私の事も相手の事も否定しないマスターの言葉。
大丈夫、の一言が心にすっと響く。
『…ありがとう、マスター』
マ「年齢重ねたしがないマスターの一言だと思って受け取って」
『ふふ、はい』
しばらくマスターと雑談をした後、いつもより早めにお会計をして店を出た。
大通りに出ると、ライトアップされた並木道が目の前に広がる。
すっかり忘れてたけど、もう少しでクリスマスがやってくる。
この通りはクリスマスになると更に灯りが増えてイルミネーションスポットにもなる。
もう今年もそんな季節なんだ。
時間が経つのは早いな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mamemiya(プロフ) - minさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけるのが一番幸せです。番外編もお楽しみくださいませ。 (2022年10月25日 20時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます！アフターストーリーも試行錯誤しながらですが楽しんでいただける様頑張ります_φ(･_･✨ (2022年10月25日 20時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - sakiさん» 引き続き番外編を展開予定ですので引き続きお楽しみくださいませ。いつもコメントありがとうございますm(_ _)m✨ (2022年10月25日 20時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
min(プロフ) - 完結おめでとうございます。毎日更新がないかワクワクしていたと同時にもうすぐ終わってしまうのではないかという寂しさもありました。2人のAfter story楽しみにしています😆 (2022年10月24日 12時) (レス) @page36 id: 56b5a4720c (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 完結おめでとうございます！康二くんも沙耶ちゃんも幸せになってほしい！ふっかさんこれから絡むのでしょうか？番外編楽しみです🥹 (2022年10月24日 7時) (レス) id: 760b825a9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mamemiya
| 作成日時：2022年10月9日 19時
