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あっという間に今日も閉店時間。
ここはゆったり時間が流れてるのに、夜になるのが早い。
年を重ねて時間感覚が変わっていったのかもしれないけど。
今日はさっさとお店を閉めて街に出る予定だ。
食器をタオルで拭いて棚にしまっていると、カウンターに置いていたスマホがピロンと鳴る。
由樹：後10分くらいでそっち着く。
相変わらず素っ気ない文章だけど、思わず笑みが漏れる。
服を着替えて髪をなおしていると、ギイッと入り口のドアが開いた。
由樹「あーまじでさみぃ。そろそろ雪降るんじゃね？」
何だか会うたびにこやつは背が伸びてる気がする。
由樹「焼肉？しゃぶしゃぶ？」
『んー…焼肉！』
カウンターに座りながら、オッケと小さく呟いてスマホを触っている。
由樹(ゆき)は、血の繋がっていない私の弟だ。
お母さんの再婚相手の連れ子で私より三つ年下である。
歳の離れた血の繋がらない男女の兄弟。
最初は距離もあって目も合わないような感じだったけど、母が亡くなってしばらくたって、お互い大人になってから頻繁にご飯に行くようになった。
いつの間にか何も気にせず話せる距離感になっていたけど、そのきっかけは未だによく分からない。
『俊治さん、元気？』
由樹「元気元気。今日も仕事休みだからって朝っぱらから釣り行ってた」
店を閉めて由樹と並んで大通りに向かって歩く。
ほら、と見せられたスマホの画面には大きな魚を掴んで満面の笑みで写る義理父の姿。
最近は会えてなかったけどやっぱり変わらずパワフルみたいだ。
由樹「…年末、うちくる？」
こちらの顔色を伺う様に顔を覗き込まれる。
『んー、ちょっとまだ予定分からなくて。決まったらまた言うね』
了解、と呟いてそれ以上は触れてこなかった。
しばらく歩いて電車で移動し到着した焼肉屋さん。
今日はなんと給料日だからと由樹が奢ってくれるらしい。
『大きくなったねぇ』
由樹「こら、馬鹿にしてんな」
奮発して良いお店に連れてきてくれた弟に胸が熱くなった。
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作者名：mamemiya
| 作成日時：2023年1月29日 1時
