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「へ〜。お姉さん東京から出張でこっち来たんっすねー。」
メロンパンを平らげた私に、はい！と缶コーヒーを渡して隣に座ったハマダさん。
お礼を言って受け取ったはいいが、他愛もない世間話に突入して少し困惑している。
スマホを拾ってもらってから約一時間。(さっきちらりと腕時計を見たら時計の針は2時を指していた。)
この一時間でわかったことがある。
ハマダさんはとてつもなく優しいお兄さんだということと、とても聞き上手だということ。
なんだかんだで私のことばかり話していて、ハマダさんのことは一つも話していない。
『・・・ハマダさんはよくここに来られるんですか？』
「ん？ここ？あぁ・・・・よく・・・よくでもないかなぁ？
最近は忙しくてなかなか来れなかったんすけどぉ・・・
まぁ・・そうっすね。ははっ」
すごーーく曖昧な返事で流されたような・・・
『あ・・・そうなんですね。
・・・せっかくの気分転換の日だったのになんかすいませんでした。
あの、私これで・・・
これ、少ないかとは思いますが、クリーニング代とメロンパン代！
本当にありがとうございました！』
人には聞かれたくないことや話したくないこともあるよなぁと思いながら、立ち上がって
財布からお札を数枚取り、ハマダさんに渡した。
「え！？あ、ちょっ！待って！
ほんまええから！こっちが勝手にしたことやし、
これは受け取れません！」
慌ててハマダさんも立ち上がり、急いで私の手の中にお札を押し付ける。
その時握りしめられた手の温度が冷たくて一瞬ビクッとしてしまった。
「っ！あ、すいません！いきなり触ってしまって！」
『＿＿あ、いや。
大丈夫・・・です。
ハマダさん。やっぱり優しい人なんですね。笑』
私の言ってることが理解できないようで、慌てながら頭の上に？マークを浮かべるハマダさんを見て
もう一度私は笑った。
触れても大丈夫だった・・・・
冷たい手の人は心が温かいっていうし・・・
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作者名：紫音 | 作成日時：2021年10月14日 21時
