冷たい手-1-【紫】 (ページ21)

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それから数日経って実花と一緒にあの人に会った。

あの人は何となく気付いていたのか私が別れを切り出すと「ごめん。」と一言だけ言った。

婚約したことに？
親に挨拶したことに？
浮気したことに？
相手に子供ができたことに？

＿＿＿何に？

「ごめん」の一言で私たちの一緒に過ごした日々と過ごしていくはずだった未来は無くなった。

それから私は恋愛ができなくなった。

男性に触れることも触れられることも“キモチワルイ”と思ってしまうようになった。

告白されることもあったがどうしてもそれ以上には進めなかった。

実花も心配していい人を紹介してくれて
その人と数回食事に行ったけど過去のことが頭をよぎって

裏切られたら・・・
もしかしたらこの人も・・・

と思うと踏み切れなかった。

そして気付けば二年が経っていた。

こんなんじゃダメだってわかってる。
踏み出さないといけないとも思ってる。

そんな時に濱田さんに出会った。

濱田さんの手はどうしてか嫌じゃなかった・・・

冷たいその手が一瞬触れただけだったけど、胸の辺りがじわっと温かくなる感覚だった。

そんなこともあってか、濱田さんのことが少し気になるんだと思う・・・

前に進みたい。濱田さんならもしかして・・・・けど怖い。

こんな気持ちがずっと頭の中でループしている＿＿＿＿