sweet...53 ページ6
、
、
、
、
『お母さんもともと持病があったみたいで
よく入院したりしてたんだけど、
その持病が悪化しちゃって
15年前に死んじゃったの。
自分が入院してても、
私の心配ばかりしてる様な人だった。
私が学校でいじめられたって話した時も
病院抜け出して、
学校まで乗り込んだりね。笑』
「かっこいいお母さんじゃん。笑」
『でしょ？笑
あ、あとね
チョコレートが大好きだった。』
「だからA、ショコラティエに？」
『うん。そうなの。
私が落ち込んでる時も、
何か頑張った時も、
いつもチョコを一緒に食べて
たくさん話をしてたの。
だから、ショコラティエになって
私の作った特別なショコラを
お母さんに食べさせたかったの。
お母さんに美味しいって言ってもらうのが
夢だった。』
だから無我夢中で
フランス語も勉強して
ショコラの勉強もした。
『でも、、、
結局、夢は叶わなかった。』
「A、、、」
照は抱きしめてくれた。
お母さんもよく抱きしめてくれてたな。
ひとりぼっちになった私には
ショコラティエになるってことしか
頭になかった。
それしかなくて
ただひたすら必死になった。
『お母さんには、、、
食べさせてあげられなかったけど、
照が食べてくれてるから、
私は幸せだよ？
私の大切な人には変わりないからね。
照も、お母さんも。
いつもありがとう。』
「こちらこそ、いつもありがとう。
美味しいチョコをありがとう。
ショコラティエになってくれて
ありがとう。」
照はしっかり私の目を見つめて
そう言ってくれた。
そっか、
夢、ちゃんと叶ってるじゃん、
大切な人に私のショコラ
届いてる。
あ、なんか
肩の力がスッと抜けた気がする。
そう思ったら、
涙が溢れてきた。
「ごめん！
やっぱ辛かったよね！汗」
『ううん、違うの。
これはね、嬉し涙だよ。』
「嬉し涙？」
『うん。
大切な人にショコラが届いてるって
思ったら、嬉しくてね。』
お母さんが死んじゃって
たくさんたくさん泣いた。
でも、それから
2度と泣かないって決めた。
どんなに修行が辛くても、
師匠に怒られても
絶対泣かなかった。
数年ぶりに出た涙が
嬉し涙で良かった。
やっぱり私は、
幸せ者だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 747人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aym:) | 作成日時：2022年5月20日 22時
