chocolate...2【黄】 (ページ23)

今日:5 hit、昨日:53 hit、合計:128,335 hit

sweet...70 ページ23

、
、
、
、
【Hikaru side...】

ゴソゴソという音で目が覚めた。

そこには制服に着替えをしてる
Aの姿。

「あ、照おはよ。
　ほんとに朝までいてくれたんだね。
　ごめんね。ありがとう。」

『いや、そんなことより、、、
　何してんの？』

「え？何って、着替え？」

『いや、いやいやいや、
　今日はさすがに休みなよ！』

「大丈夫。もうだいぶ良くなったし。」

なんて言ってるけど、
顔色は全然良くないし、
着替えるだけで息切れしてる。

「おっと、、、」

『ちょ！ほら！
　フラフラじゃん！』

ふらついてて倒れそうなのを
慌てて支えた。

体もまだ熱い気がして、
おでこに触れる。

『あつっ！まだ熱あるし。』

「大丈夫だって。
　薬も飲んだし。そのうち下がるよ。」

『絶対大丈夫じゃないでしょ。
　、、、そうやってまた無理して、』

「大丈夫だって！
　みんなに迷惑かけれないし、
　私がいなきゃ！」

珍しく声を荒げるA。

ガチャ。

「お邪魔します。」

「ハジメ、、、」

元「お前今日休め。
　店は俺がなんとかする。」

「私は大丈夫だって！」

元「そんな熱ある状態で店に立たれる方が迷惑って
　分かんねぇかな。」

そう言って部屋に入ってきて、
俺の横に立った。

元「どうせ病院行ってないし
　行く気もないんだろ。
　お母さん亡くなってから
　病院苦手になったんだろ？

　だったら大人しく寝てろ。」

Aが頑なに病院行きたがらない理由、
それだったんだ。

「でも、」

元「ショコラはいつもより少なめにする。
　いつも余るくらいなら
　作る数減らした方がいいだろ。

　焼き菓子は後は焼くだけにしてある。

　レジはライカがいるし、
　今日どっちみち年末調整に向けて
　アラタさんにきてもらう予定だったから
　手伝ってもらう。

　
　つまり、お前いなくてもなんとでもなるんだよ。
　だからお前は黙って寝てろ。」

「ハジメ、、、」

元「あと、、、
　はい、これ。
　お前の好きなフルーツゼリー。
　キウイは入れてないから安心しろ。」

そう言って、Aの頭に手を
ポンポンと置いて、
優しく微笑んだ。

病院のことも、仕事のことも、ゼリーのことも、

俺の知らないAを、
コイツはいろいろ知ってる。

そして何より、
俺はAに何もしてやれなかったのに、
コイツは全部してあげられてる。

それが悔しくてしょうがなかった。