届かない陽だまり ページ21
6年前
『行ってまいります、師範。』
「大丈夫。鏡花は僕の自慢の弟子だ。」
師範に見送られ最終選別が行われる藤襲山に向かった。
師範は日輪刀の色が白から黒への階調という珍しい人だ。
自分に合う呼吸が中々解らず、色んな呼吸を渡り歩いていたらしい。
結局自分にどれが一番合うか結論は出ず、
今まで試した様々な呼吸を少しずつ取り入れた"鏡の呼吸"を編み出した。
鏡の呼吸で最も重要な事。
それは、観察眼だ。
鏡の呼吸は言うなれば全ての呼吸からの派生だ。
その為それぞれの呼吸の癖や特徴を知る必要がある。
実際、鍛錬の中には他の隊士の任務の観察もあった。
そんな風に今までの日々を振り返っていると藤襲山に着いた。
狂い咲く藤。
足を進めると何十人か集まっている開けた場所があった。
あの人は残りそう。
…あの人は無理だな。
あの人は五分五分…か。
と少し観察してみる。
-
その中でも一際目を引く2人がいた。
お揃いの蝶の髪飾りに整った容姿。
後に胡蝶という姓の姉妹だと知る。
姉のカナエさんはとても人懐っこい人だった。
人間不信気味で口数も少なかった私に積極的に声をかけてくれた。
私が師範の前以外で初めて狐面を外して、過去を話した人でもある。
-
「鏡花ちゃん、無理にとは言わないの。
ただ、貴方を少しでも癒す事ができる場所に私がなれたらなって……。」
「ふふっ、私は何があっても鏡花ちゃんの味方だよ??何時でも頼ってね!」
「しのぶと仲良くなったみたいで嬉しいわ!」
カナエさんの事を思い出すと、穏やかな笑みが零れる。
優しい、春の陽だまりの様な人だった。
この頃は蟲柱……しのぶちゃんとも仲が良かった。
ツンツンしてたし、私も壁を作っていたけど。
それでも
怪我を負うと毒づきながらもその言葉には心配の念が隠されていて、
ただ姉が大好きで不器用な人だと言う事がわかった。
-
鬼殺隊の人は往々にして純粋な人が多い。
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皆、ただ純粋過ぎただけなんだ。
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『あは…
味方なんて、もう居ないよ……
_________カナエさん。』
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戻らない日々を想起しながら口から出た言葉は、陰を伴いながら3人の耳に届いた。
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光闇 - ハッピーエンドでいいんですか? (6月8日 22時) (レス) @page22 id: 2a2d152930 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - 柱達と仲直りしないんだね!良かったー!あんな人殺し集団と仲良くする義理なんてないって! (2023年1月31日 9時) (レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
桜井直(なお)(プロフ) - 面白いです!終わりとなってたんですけどもう終わりなんですか? (2022年9月23日 22時) (レス) @page24 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
伯愁(プロフ) - マナさん» 夢小説と名乗る以上当方での完全な名前固定は致しかねます…申し訳ありません。 登場人物設定の「夢主」の欄に何も入力されないとデフォルトの名前のままお楽しみ頂けるかと思います。 ご希望に添えず申し訳ありません。ご理解頂けると幸いです_(。。)_ (2022年1月27日 19時) (レス) id: ca8a5a890b (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 名前変換しなかったら、名前は鏡花のままですか? (2022年1月25日 17時) (レス) id: d0a320b2d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伯愁 | 作成日時:2020年5月10日 20時