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十四話 祝祭のダンス ページ14

謎の美青年と別れて、思わず小走りになりながら駆け寄る。後方では、美青年に対して兄が何やら騒いでいるが、それどころではない。

「グ、グレンさん、どうして、ここに」
「慌てすぎです。落ち着いてください」
「おおお、落ち着かずにいられますか!……って、なんですか」

グレンさんの元に着くや否や、彼は私の額を布でゴシゴシと拭きだした。やけに力強く。

「痛い、痛いです、グレンさん」
「ああ、すみません。汚れていたので」
「は、はあ……で、グレンさんはどうしてここに?王城でのパーティーは?さっきの人は誰なんですか?グレンさんの知り合いですか?」
「矢継ぎ早に質問しないでください。後で話しますから。……それより」

グレンさんはスッと私に手を差し出した。

「自分と、踊っていただけますか?」


△▼△▼△▼


「1、2、3、4、1、2、3、4……そう、その調子で……アイタッ!」
「す、すみません」

あれだけ仕事が完璧なグレンさんだ。ダンスもそつなくこなすだろう……と思っていたのに。

「グ、グレンさんってダンスあまり得意じゃないんですね」
「話しかけないでください。集中してるので」

そう、グレンさんはびっくりするほどリズム感がなかったのだ。ステップが噛み合わず、足も踏まれ、時々止まってしまうくらいである。

(グレンさんにこんな欠点があったとは……)

いつも怒られ、教えられの立場が逆転し、たどたどしいグレンさんを見ているとなんだか笑みがこぼれてくる。

「……あまり、笑わないでください。下手なのは承知なので」
「すみ、ません。でも、おかしくって」

あの美青年とのダンスも楽しかったけれど、これはこれで楽しく感じるから不思議だ。ダンスはめちゃくちゃで、少し足も痛いけれど、私はなんだか心地いい気分だった。

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設定タグ:使用人 , メイド , 貴族   
作品ジャンル:ラブコメ, オリジナル作品
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お芋(プロフ) - しぇるふぃあ。((芦原晴))さん» わー!!再びコメントありがとうございます……!!そうなんです。彼は不器用なんで……ほんと!!(言葉にならない)そして、そうです!私自身彼らが大好きなのでもう少しだけ、騒がしい彼らの様子を書けたらな〜と思っております!お楽しみに! (2020年2月27日 23時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - 本編は…ということは番外編や後日談が更新されるという解釈で合っていますか?楽しみすぎます…!! (2020年2月27日 23時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - タイトル回収されてドキドキしました…ソフィアちゃんの告白が成功して思わず「やったー!」と喜んでしまいました( ´∀`)やっぱり両片想いだったんですね!一緒に働き続けたいがためにちょっと面倒くさくなってしまうグレンさんかわいくて大好きです!(続きます (2020年2月27日 23時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
お芋(プロフ) - わさん» コメント、感想ありがとうございます!本編は完結しましたが、もう少しだけ続くので楽しんでいただけると幸いです(*^^*) (2020年2月27日 22時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
- 早く続きがみたいです!!すごく楽しみにしています! (2020年2月27日 3時) (レス) id: 6d2dda4d98 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お芋 | 作成日時:2020年1月14日 21時

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