とある幕末の花魁の姉と、刀剣に生まれ変わった妹がブラック本丸に行く話。【刀剣乱舞】 (ページ10)

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｢大将、ここが審神者部屋だ！｣

｢後藤！しー！｣

部屋に入った瞬間、信濃は可愛い顔の眉間にシワを寄せた。

｢…誰か来るな｣

｢多分、厚と薬研だよ…｣

すると襖が空き、二振りの刀剣男士が立っていた。

それは案の定、厚藤四郎と薬研藤四郎だった。

薬研は審神者であるAをみて一瞬目を開いたが、動揺せずに口を開いた。

｢おい、なんで殺さなかった？お前たちの腕ならそう難しくは無かっただろ！｣

そういって抜刀し、中に入ってくる。

｢薬研！やめて！この人は違うんだよ！｣

｢頼む薬研！この人だけは違うんだ！殺さないでくれ！｣

涙目になりながら止める二人を見て、薬研は動きを止め、鞘に収めた。

｢薬研、信濃と後藤を信じようぜ…｣

｢厚、お前…！｣

ずっと俯いていた厚が涙を流しながら薬研を見た。

｢えっ…｣

厚の顔を見た瞬間、Aは息を飲んだ。

厚の顔は傷だらけだったのだ。

｢酷い…どうして子供を傷つけるのっ！！｣

突然叫んだAに、その場にいた4人が驚いたのは言うまでもない。

Aは自分の命が狙われていることを忘れ、厚に近づき振り返る。

だがまだ警戒心を解けない薬研は睨みつけてきた。

｢やめろ審神者！厚から離れろ！｣

｢ですが、こんなにたくさん傷がついているのに、放っておけません！｣

そういってAは厚の両手を握った。

｢勝手に触ったりして、ごめんなさいね。｣

｢…あぁ、あんたならいいや。すごく優しい手だ。｣

厚とAは暖かな光に包まれ、

厚の顔の傷は徐々に消えてゆく。その光景に薬研は驚いた。