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事の始まり(前) ページ3

「風邪…治んないなぁ……」




音の鳴った体温計の数字を見つめながら、私は溜め息混じりに、ボソリと呟いた。


37.6°……見事に高熱、しかももう3日も続く。


そろそろ風邪薬を飲む時かな、とぼんやりとした頭で考えながら、私は体温計を机に置いて立ち上がった。


体調を崩して薬を飲むなんていつ振りだろう。




「うーん……あれ、薬しまってる箱どこだっけなぁ…」




軽く頭を搔きながら首を傾げて、キョロキョロとテレビ下の棚を漁り、救急箱を探す……


も、中々見つからず、暫くしてからようやく1つの箱を取り出した。


「げぇ、最後の一粒……まぁいっか」


キッチンでコップに水を入れてから、私はのろのろと袋を開けて水と一緒に薬を飲み込んだ。


……これで少し寝たら、多少は良くなってるだろう。


そう思って、コップを机に置いたまま、ふと玄関の方を向く。


「……あれ、母さん…いつの間に出掛けてたのかよ」


玄関に母の分の靴が無いのを見て、呆れ混じりにそう呟き、


寝室に戻ろうと振り返った瞬間、クラリと目眩がした。


「っ……っぶな…」


倒れる!と我に返って蹌踉めきながらバランスを整え、




「_______え?」


___頭と背中を叩きつけるように降る雨に、思わず呟いて目を見開いた。




屈んだ姿勢のまま見つめる床は、木目のフローリング…………ではなく、アスファルトの床だった。


「!?はえ!?」


慌ててバッと顔を上げ、そして、目の前に広がる光景にギョッと目を見開く。


「は…?公園…公園!?うそ、えっ、何で!?」


辺りを見回すも、そこはどう見ても家の狭いリビングではなく、木と噴水とベンチがある公園だった。


一瞬夢かと思って瞬きや頬を叩いてみるも、一向に目の前の幻覚は消えない。


「…っというか、雨降ってるし…冷たっ」


ザーザー降りに近い量の雨に風を引いた体は打たれ弱く、どんよりとした気持ちで近くの木の影へ逃げた。


………何なんだ??これ…夢にしては、何か妙にリアルで変だし……


まさか久しぶりの風邪にやられて、意識朦朧のままここまで歩いて来たとか…?


信じられないけどあり得なくはないなぁ……と思いながら、引き攣った顔で辺りを見回す。


が、周りの建物やこの公園に、てんで見覚えは無い。




____その混乱の状況を一瞬で砕け散らせる出来事が起きたのは、数分もしない後だった。

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白浪燈夜 - ……これめっさ続きが気になる!続きはよ(ノシ 'ω')ノシ バンバン (2020年3月27日 23時) (レス) id: b3ddaf4719 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きを楽しみにしてます。よろしくお願いします。 (2019年12月19日 23時) (レス) id: 72e733d873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年6月4日 21時

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