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山田side
『……ごしゅ、じん、さま……おれ、うたいましょうか、』
胸に押し寄せる自分に対しての憤激に
頭を掻き毟り、そこに伏していると
多少覚束ないが、頭上から降ってくるあの声。
「ケイ……、」
『おれ、じょうずに、なったんですよ。』
「……っぅん、」
だんだんと閉じていく彼の瞳、
その瞳がゆっくりと水分を帯びてきて
軈て一つの珠玉となり、フローリングにポタリと落ちる。
その間に彼の唇から弾き出される、華麗な音階は
俺の心をさらに抉り、締め付けた。
『あなた、が最後に触った、音声でーた、から
全く、へんかしていません、でも、上手くなってる。』
「……ぅん、すごく、綺麗になってる。」
『貴方が、俺のこと、好きになってくれたから、ですね。』
嬉しそうに彼が優しく呟いた言葉を聞き逃すことはなく、
すぐにその細い肩を掴んで否定する。
「なんでっ、俺が……お前を……！！」
『……おも、い入れ、のある歌い手なら、そのうた、も良く聞こえるもの、ですよ。』
「分かったような口聞くなって……！！なんで……！！」
『……ご主人様。』
「ッケイは、こんなスイッチ一つで理由なく好きとか言えるのに……！！」
微笑みながら、尚も“好き”と繰り返す彼に
どうしても素直になれない俺は、思わず嫌味じみた言葉を発した。
それでも怯むことなく、ケイは俺の手を両手で包み込む。
『俺は、アンドロ、イドです。
確かにごしゅ、じん様にとっては凡庸、なのかもしれない。』
「そうだよ……他の歌手と比べたって特別秀でている事なんか一つもないんだ。」
『でも、あなた、の歌を、歌うためだけに、生まれてきた。』
「そんなの誰にでも言えるさ。」
『いいえ、誤算、でした。
俺は、主従以上の、関係を貴方に求めてしまった……。
すきに、なってしまった。』
「……っ、」
『……俺は、心を持たないアンドロイドです。
それでも、貴方が、ご主人様がすきです……あい、してぃます。
そこに、りゆう、な、どありません。でも、』
ケイの瞳から大粒の雫が零れ落ち
美しく線を描きながら頬を伝った。
『________ごしゅじんさまだって、そう、でしょう？』
ああ、なんだ。
好きになっていたのは俺の方だったのか。
初めにスイッチを入れたその日から、
俺が感じていたものは、俺の中でぐるぐる回っているだけの何かで
“ 好意 ” をOFFにした彼の歌声は、
なんの感傷も無い、天使の歌声だった。
fin.
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ひまちぃ(プロフ) - 本日『好きだよ、痛いくらい。【×in】Part4』を公開いたしました。リクエストされていた作品も、今リクエスト中の作品も全てそちらに書かせて頂きますので、お手数お掛けするとは思いますが、そちらをご覧ください。ひまちぃでした！！！！ (2022年1月10日 16時) (
レス) @page40 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Nana72921256さん» リクエストありがとうございます！！Part1.2にも記載した通りPart3の編集画面を開けなくなってしまったので😢リクエストは今作成中のPart4内で受けさせていただきます！！ (2022年1月5日 21時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
Nana72921256(プロフ) - というパタンが成立できるのでしょうかな。周りの人たちに好きな子ができたと宣言するLEO様、いかがでしょうか。ひまちぃさん、機会があればぜひお考えてください💓 (2022年1月5日 20時) (レス) @page40 id: 151c04c7db (このIDを非表示/違反報告)
Nana72921256(プロフ) - ここでリクエストさせていただけませんか。私ネット音痴なので、ツクウラのDM欄を探しましたが失敗しました😢。ところで、今日大ちゃんは伊野尾ちゃんがゲームする時必ず女性キャラをするといました。ゲームで好きな女の子（ネットオカマ伊野尾)と出会った山田さん (2022年1月5日 19時) (レス) @page40 id: 151c04c7db (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Nana72921256さん» いつもご愛読いただきありがとうございます！常時リクエストも受け付けていますので、機会があったら是非！！ (2022年1月4日 0時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2021年9月19日 22時
