派遣彼氏6(ヤス)

おまけ16 ページ33

A「そう…なんだ」

章「ごめん…言うてなくて…、でもあそこ辞める話はついとるから…」

A「うん…」



『派遣彼氏』を辞めるって章ちゃんが言っていたから、もうとっくに辞めたもんだと私は思っていた



ヤス君と比べるワケじゃないけど、章ちゃんはメールが苦手なんだと思う



派遣の時は、小山さんが書いていたのを知らなかったから、彼と付き合えたらあんな感じのやり取りが出来るかな？って、知るまでは思っていた



付き合ってから結構メールをしてみた…



だけど甘い感じのメールはない…




『明日、朝迎えいく』



『家ついた？』



『わかった』




絵文字もなく短文。本当に用件だけのやり取り




本当にそんな感じ…




まぁ、章ちゃんらしいと言えばそうなのかな？




だけど少し寂しいなーとか、正直思ったりもする…




もっと何か喋ってほしいし、聞いてほしいなって…




何か私と話してても、もしかしてつまらないのかなって…




だけど…





だけど…たまに…




寝る前あたりになると、章ちゃんから電話がかかってきて…





『もしもし…ごめん。その…ちょっと声聞きたなって…A…おやすみ』






こんな感じに、たどたどしく電話で甘えた感じにくるからキュンとしちゃうんだ



だから…




あまり章ちゃんから連絡が来なくても、不思議はなくて…



違和感みたいなのも、全く感じなかった



自分も仕事が忙しくて、卒論の準備に追われていた



章ちゃんが彼氏になったのだし、派遣を辞めたと思っていた私は、派遣のサイトを覗く理由もない



だから章ちゃんが、いまだに派遣をやっている事も知らなかった




そう言えば…ミヤが3日前くらいに…



『もしもしみっちゃん？ごめん！！今日だけだから〜』

『なにが？』

『だからぁ…あっ♡ごめん！切るね♪』

『ちょっ…ミ…』



あ〜…アレは…そう言う事だったのね…



章「A？」



派遣を利用した事がある私は、いろんな嫌な事をリアルに想像してしまう



章「ごめん…」



硬い表情のまま俯く章ちゃんに、モヤモヤする気持ちをぶつけても仕方ない



それに…誰が何と言おうと…




私が、章ちゃんの本当の彼女なんだ！



A「大丈夫！！ちょっとビックリしただけ！No.1だもん仕方ないよね」

章「A…」

A「でも可愛い子がいても浮気しないでね」




とにかく章ちゃんの暗い表情をこれ以上みたくない私は、明るく笑ってみせた

おまけ17→←おまけ15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す